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ハロウィン妄想と恋人たちの時間04

「却下! 行くぞ相庭!」 「えっ、ちょ、椎名?」  椎名は有無を言わせず相庭の腕を掴み、引きずるようにしてカフェテラスから出て行く。 え、ええ? なんで! 俺だけ取り残されてんの! なんで俺の方が先に喋ってたのに、椎名が相庭をさらってくの!? なんで!? 「椎名、ぜってえぇぇ許さねえぇぇーー!!」  もうまじでふざけんな! 勝手に自分のものみたいな顔してんなよばーか!!  怒りと悔しさで、はらわたが煮えくり返る。目の上のたんこぶ男め。 (おまえのことなんかたんこぶって呼んでやるんだからな、覚悟しろよ!)  胸の中で投げつけた悪態は、心の闇に虚しくこだました。  椎名への恨めしい気持ちは帰宅してからもまだ燃え滾っていた。 あんまり腹が立つので、さっさと布団にもぐりこんでふて寝してやる。頭の中で好きなだけ相庭を着せ替えているうちに、だんだんうとうとし始めた。 ――忍ちゃんに仮装させるならぁ、ツノ付き短パンヘソ出し悪魔……猫耳と尻尾の生えた黒猫ちゃんもいいし、赤ずきんちゃんのカッコで「狼さん食べて(ハート)」なんて言われたらもう! もうもうもうバカっ!  妄想の中の相庭がエッチな衣装に身を包み、露出した肌を恥ずかしそうに隠している。 「斉藤のバカ。二人きりでコスプレさせるなんて何する気だよ」と頬を染めてなじったところで、意識が遠のいた。

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