33 / 37

ハロウィン妄想と恋人たちの時間13

「そうだよな。でもそれが的外れとなると、俺が単に狭量だっていう話に収束しちゃうじゃん」 「え……?」 「相庭に気があるわけでもない相手の、普通を逸脱してないスキンシップに目くじら立てて、相庭を怒鳴って怒らせて? 俺、立派な束縛男みたい。まあ、否定はできないけど……」  拗ねたポーズで相庭を見つめると、どう返せばいいかわからないという表情で見つめ返される。 (かわいいなあもう) 「相庭、好きだよ」 「な、なに……」 「相庭は? 俺のこと好きでいてくれてますか」 「……す……好、き、だけど……」 「よかった。じゃあ、俺のこと好きな女の子が、俺に抱きついたらどう思う?」 「え……」  相庭は目をぱちぱちと瞬かせて、ようやく、わかったという顔をした。その表情を見ているだけで笑みがこぼれる。 「妬いてくれる?」  答えなんて知っていながら尋ねると、相庭が両腕を伸ばして首元にしがみついた。尻もちをつきそうになり、慌てて腕を突っ張って、二人分の重みを支える。 「やだ。絶対やだ。そんなの見たら息が止まる」  ぎゅうぎゅうと情熱的に抱きしめられて、たまらない気持ちになった。片腕を背中に回してぽんぽん叩くと、肩先で「ごめんなさい」とくぐもった声が聞こえる。

ともだちにシェアしよう!