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ハロウィン妄想と恋人たちの時間15

また言い争いになりそうになった口を、キスで塞いで食い止める。多分もうこの話題は、延々と譲って怒って譲って……の繰り返しになる。 「はあ、も……いい加減、俺のことだけ見てよ」 「なっ、なんだよ、それ……椎名がそれを言うの……?」 「言う。だって、今完全に俺の方が相庭のこと好きだし」 「そんなわけないだろ。なんなんだよ」  ドンと胸を叩かれたが、その手を包みこみ、指を滑らせて恋人繋ぎをする。尖った唇をちゅ、ちゅ、とついばんでいるうちに、相庭の顎がふわふわと不規則に浮き始めた。ああ、このじれったそうな動きは、よく知っている。もっと深くしてほしいけど言えないときのそれだ。  わかっていながらついばむだけのキスを繰り返していると、じっとこちらを見つめる気配がある。ぽんぽんと頭を撫で、相庭の耳を指でいじりながら同じキスを続けた。自分をもっと求めて欲しいという期待を込めて。 「意地悪……してるつもりか?」 「……ん?」  ぼそっと拗ねた声を出して、相庭が睨んでくる。そんなつもりはないと言おうとしたが、ふと反応が気になって「意地悪してると思った?」と聞き返してみた。すると、相庭がわかりやすく唇を尖らせて、悔しそうにまた胸を叩いてくる。 「どうせちょろいと思ってるんだろ。キスしただけですぐこんな風になって」 「えっ……」

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