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ハロウィン妄想と恋人たちの時間16

 絶対にちょろいなんて思うことはないし、今すぐ違うと言って安心させてあげたいのに、それよりも自分を求める言葉が聞きたくて、返事を躊躇してしまった。 「どうせ俺はケンカしててもキスされたくらいで静かになるし、手繋がれたくらいで期待するし、俺だけその気になったってわかってがっかりするようなちょろいヤツだよ。椎名なんか、椎名なんか……どうせ好きだよ……っ」  ぶわわっと体の内側が震えた。毛穴という毛穴から何か出るのではないかと思うほど、いろんなものがあふれ出しそうになる。頬を真っ赤に染め、目も合わせないで距離をとろうとする相庭を強い力で引き止めた。 期待した「もっと」という言葉とは全然違うリアクションに驚いたけれど、これはこれでかわいいし……かわいい。 「あのさ、相庭がちょろかったことなんて俺の知る限りでは一度もないよ。いっつも俺の予想を裏切るし、予想以上にかっこいいし、頑固だし、俺のこと捨てようとするし。結局相庭のこと追いかけてるのいつも俺じゃん」  反撃するように言葉を返すと、相庭が二重まぶたのきれいな目をしぱしぱと瞬かせる。まったく自覚がないらしいのがなんとも言えない。

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