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後日談~弟くんへのご挨拶(椎名視点)4

 ただ相庭を愛でたかっただけなのに、じんわりと内側に熱が生まれる。 「相庭、して」 「……なにを」 「さっきのじゃ足りないから。キス」  親指の腹で頬を撫でながら、唇がくっつきそうな距離で囁くと、相庭の睫毛がふるりと震えた。 まだ羞恥と戦っているのかなかなか動く気配がない。 促すようにすりすりと鼻先を擦りつけ、キスしやすい角度に顔を傾けたところで、やっと相庭の唇が降ってきた。 「んっ……」  軽いキスを繰り返し、警戒心と羞恥心を解いていく。 はむはむと唇を挟んで遊んでいると、相庭が笑う気配がした。 だいぶリラックスしているのがわかった時点で、今度は熱を高める触れ方に変えていく。 「ん、んむっ……」  唇の際を舌で辿り、つるりと内側に滑り込ませて粘膜を愛撫する。 歯茎をなぞられると感じるのか、相庭の背中がビクンと震えた。  少しだけ浮いた歯列の間を舌でチロチロ舐めると、自然と口が開き、中に誘い込まれる。 熱くなった相庭の舌に自分のそれを絡め、ようやく深いキスが始まった。 漏れ聞こえる水音に煽られ、身体の奥に火が灯る。 「あ、あの、椎名の……」 「ん? ……これ?」  硬くなった部分をぐっと相庭の尻に押し付けると、小さく肩を跳ねさせて、相庭が声を漏らした。 「うあっ……」 「……本当にしちゃおうか」 「するって……なにを」 「対面座位」 「ばっ、……あ、んっ……」  すかさず服の下に手を差し入れる。 相庭はもう躊躇することなく両腕を背中に回してきた。 つい憎まれ口を叩こうとはするけれど、多分彼ももう止まれない。  できればいつかは、自分から膝に乗っておねだりして欲しい。 そのためにも、なんとしてでも弊害を取り除かなければ。 そして、相庭が安心して甘えられる恋人に絶対なってみせるぞ! と俺は心の中で奮起しつつ、淫らな行為に没頭したのだった。

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