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後日談~弟くんへのご挨拶(椎名視点)9

「相庭、俺が一緒にいること、当たり前だって思ってよ」 「当たり前……?」 「大切な人が側にいるのは当たり前じゃない、感謝すべきだって世間は言うし、正しいと思うけど、でも俺は、相庭の当たり前になりたい。 一緒にいるのが当たり前。でも幸せでいるのは努力が必要だから、怖がんないでいっぱい甘えていっぱい話して、誰よりも頼れるパートナーになっていきたい」  ほんの少し、自分の失敗も振り返った言葉。 若奈とはそこが決定的に足りなくて、続かなかった。 側にいてくれるのが奇跡だから、最初から失うことを恐れて、自分だけが頑張って、結果破綻した。  相庭とはそんなことで失敗したくない。  膨張して丸い曲線を作っていた水滴が、彼の目の淵から堪えきれずにこぼれ落ちた。 スウっと耳の向こうに消えて見えなくなる。  涙に縫い止められていた視線が自由を取り戻し、シャープなアゴのラインから、筋張った首へと移ったところで、喉仏が小さく揺れた。 「当たり前になってくれるの? 勿体ないって、贅沢だってずっと思ってたのに……。……でもどうしよう。椎名にとって俺が当たり前になるんだとしたら、幸せすぎるかも……」  柔らかい涙声も、言葉の合間に上下する平らな胸も、どうしたって男性そのものなのに、まるごと手に入れたいと思うほど、欲求を掻き立てられる。 少し前の自分は想像もしていなかった。 同性にこんな気持ちを抱くことになるなんて。 しかも、過去に付き合ってきたどんな相手よりも、深い繋がりを感じるなんて。

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