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後日談~弟くんへのご挨拶(椎名視点)10

「二人で当たり前になっていこう」 「うん、……うん」  コクコクと頷く相庭の髪を梳きながら、まだ乾いていない目尻にキスをした。  軽く触れていた手首をとり、相庭が掌に頬擦りをする。 猫がゴロゴロ言いながらじゃれつくような仕草でそうされると、これも彼なりの甘え方なのかもしれない――と、ひどく嬉しい気持ちになった。 それと同時に――。 「あー、この体勢ツライな」 「ん、なんで」  もっと別の欲求を刺激され、煩悩スイッチが入ってしまった。 とろんとした表情のままスリスリしている相庭に、こちらを煽っている自覚は全くない。 薄々気付いてはいたが、この男、自分のこととなると恐ろしいほど鈍感だ。 「甘えた仕草の相庭がそそる」 「えっ、あ、そっ――」 「今俺やらしいことで頭いっぱいになってるから……」  もたげた欲望を隠しもせず耳元に囁くと、相庭の瞳にも色香が滲んだ。 困ったように真っ赤な顔を左右に振って、小さく呟く。 「嫌じゃない、けど……だめ」 「……わかってる。何もしないよ」  隣の部屋に相庭の弟がいるこの状況で、さすがに事に及ぶわけにはいかない。 その気になってしまったのはツライところだが、今日は我慢だ。 ――と心に言い聞かせた瞬間、少しだけ芯を持った中心部を撫でられ、ビクリとした。 「椎名がこうなるの、俺だってすごい……嬉しいんだ」 「相庭……?」  反応しかけた場所を、掌で包みこむようにしてやわやわと揉み込まれ、腰が重くなってくる。 「やばいって」 「……椎名の家に行きたいって言ったら……だめ?」 「え、まさか……」  誘っているのかと暗に問えば、相庭がコクンと頷いた。

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