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新年SS 02
ポケットの中で絡められた指が気になり、そわそわしている間に、参拝の順番が回ってくる。
そういえば、去年はお札を賽銭箱に突っ込んで、椎名の良縁を強く願ったのだ。
今度こそすっぱり諦めるつもりで、彼に不要な縁を切って、本物の良縁を与えてください、と。
なぜ、自分は彼の世界から淘汰されず、残ってしまったのだろうか。
好きだと言ってくれる気持ちを疑うつもりはないが、一年経って、そろそろ冷静になる時期なんじゃないかと思う。
最愛の彼女の心変わりに傷つき、弱っていた椎名にとって、何年もしつこく片思いしていた自分は、安心感を与える存在だったに違いない。
抉られた心の空洞に、たまたま居合わせた自分がぴったりはまってしまった。
けれど、依存は愛に変わるのだろうか。変わったのだろうか。
まだ自分たちは無自覚のままごっこ遊びを続けているのではないか。
そもそも性的指向の不一致という問題とも、ずっと付き合っていかなければならない。
一年前と同じシチュエーションに引きずられ、気持ちがどんどん沈んでいく。
あの時とまったく変わらない不安と孤独感に苛まれ、心臓がおかしな音を立てた。
かっこよくなろうとひたすら頑張ってきたはずなのに、ふとした瞬間、弱い自分が顔を出す。
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