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第7話
あの後、真哉には『もう諦めたら?それ以上、調べられないでしょ』と言われた。
元々、真哉はあまり祖父の恋愛事情には興味がないみたいだし。
祖父に嫌われていても、気にしてないみたいだし。
近付かなければいいやと思っているみたいで。
まぁ、真哉にしてみれば産まれた時から祖父に嫌われていて、可愛がられた記憶もないから、しょうがないとは思うけど。
でも、僕は祖父も真哉も好きだし、2人には仲良くなって欲しい。
そんな思いで祖父の恋人の行方を捜していたけど。
(祖父の恋人だったΩが………もしかして、今、幸せに暮らしていたら…祖父のαに対する憎しみも少しは和らぐかな………と思ったんだけど)
でも………。
(このまま調べていて……大丈夫だろうか)
祖父の恋人だったというΩに横恋慕し、無理矢理“番”にしたという名前が書かれていなかったαの存在。
“番”を解消されたと言っていたのに、記録には残っていなかった。
“番”になった後、消えたΩ。
“番”となったαとの間に子供がいたのか、いなかったのか。
それさえも、分からない。
まるで存在自体を消されたみたいだ。
-恋人だった祖父と引き離されて、無理矢理αの“番”にさせられ、いきなり“番”を解消せられて、記録から存在を消されたΩ。
想像しなくても、幸せだったろうとは思えない。
それを調べて………どうしたいんだろう。
(分からなくなってきた………)
でも。
もしも、そのΩが生きているのなら、祖父と会わせてあげたい。
祖母には悪いが、そう思う。
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