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屈辱2
「あッ!?」
突然下肢に触れられて、犬塚はびくりと裸身を跳ねさせた。竜蛇が背後から犬塚のぺニスを柔らかく握りこんだのだ。
「様子を見に戻ってみれば………これはなんだ?」
犬塚のぺニスは勃起しており、僅かに蜜を漏らして濡れていた。竜蛇の長い指が濡れた亀頭をくちゅりと這う。
「ぁあッ、やめっッ!」
「一人で気持ちよくなるなんて……悪い子だ」
「違っ………あ!」
竜蛇はぺニスから手を離して、ワゴンからまた何かを手に取った。
「犬塚。俺はお前が可愛い。だが、躾は最初が肝心だからな」
「なにを言って………!?」
竜蛇が手にしているのは尿道を責める為のブジーと呼ばれる玩具だ。ゆるくカーブした銀色のブジーをローションで濡らし、竜蛇は犬塚のぺニスを握った。
「リラックスしろ」
竜蛇は犬塚の尿道にブジーの先端を当てた。犬塚は目を見開いて、自身の尿道に悪趣味な玩具が挿入されるのを見ていた。おぞましいのに目が離せない。
「………ぁ……あ」
竜蛇は焦らず、まるで焦らすように、ことさらゆっくりとブジーを挿入した。奥までずっぽりと挿れて、内部から前立腺を刺激するように少しだけブジーを揺らす。
「ぅうッ!」
犬塚の汗で湿った裸身が硬直したのを見て、竜蛇は低く笑う。緩やかに犬塚の尿道を責める手は止めずに、世間話でもするように静かな声で話続けた。
「犬塚。なぜこんな真似をするのか理解できてないようだが………これはお前の望みでもある。仕事中、わざと傷を負っていただろう? お前にとって痛みは快楽になる」
「………はっ、あ……ゃめ……ぁ、あ」
浣腸をされ、押し込まれたバイブの振動で刺激されながら、尿道にはブジーを挿入されて前立腺を責められている。
犬塚は幾重にもなる責め苦に自分を見失いかけていた。か細い声で喘ぎ、小刻みに身を震わす。
だがその表情は毒婦のように淫らで危険な色香を放っていた。
「Ωだからという理由じゃない。こんなにも快楽に弱く、歪んだ欲望を持つお前は一人では生きられない。今に耐えられなくなるぞ」
「………いやだ………嫌……違う……は、あ!」
「俺達はぴったり合う。お前は俺の為のΩだ」
「嫌だ、違う……ちが、あぁあ。嫌だッ、あんたなんかと………違う、俺は……ッ」
「最初に俺を甘い匂いで誘ったのはお前だ。この体に思い知らせてやろう」
竜蛇の甘く恐ろしい声を犬塚は朦朧とした意識で聞いていた。
竜蛇はブジーから手を離し、ワゴンを引き寄せた。龍の柄が細工された小箱から優雅な手付きで針を取り出し、消毒布で拭いた。
「ここも寂しいだろう」
竜蛇は犬塚の乳首に触れた。犬塚のそこは触れられる前から尖っていた。
「あぁあッ!」
竜蛇は犬塚の乳首に針を突き刺した。鋭い痛みにたまらず犬塚が叫び声を上げる。
「あ"ッ、あ"……ひぃ………うぁあッ!」
両方の乳首に数本、針を打たれて犬塚は絶頂に達しそうになったが、ブジーが邪魔をして射精できずに激しく身悶えた。
「イキそうになったのか?」
「ぁあ、あっ………違……ッ」
嫌だ違う! 駄目だ、こんな、こんな………ッ!
「悪い子だ」
耳元で甘く囁かれて、犬塚はゾクゾクと唇を震わせた。大きく開いた口から唾液が糸を引く。
「お前、自分が今何をされているか、わかっているのか? 拷問に近い。それなのに、こんなに硬くして」
「………ん、んぅうッ」
勃起したままのぺニスを指で撫でられ、言葉でも辱しめられた犬塚は唇を噛み締める。
もう訳がわからない。自分はこの男とは違う。変態趣味なんか無い。
それなのに………こんな最悪な真似をされているのに、快楽を感じてしまう己の肉体が信じられない。
「どうする? 犬塚。このまま一晩、放置しようか?」
「………ッ!?」
竜蛇の言葉に犬塚はヒッと息を飲んだ。このまま放置されるなど耐えられない。だが、竜蛇の言いなりにはなりたくない。犬塚の顔が屈辱と恐怖に染まるのを竜蛇は微笑して見つめた。
「解放してほしければ」
また可愛くねだれと言うのか?
それとも、もっと淫らで酷い要求をされるのだろうか。
悔しい。けれど、このまま放置されたら…きっと今以上に醜態を晒してしまうだろう。犬塚は悔しげに唇を噛みしめた。
「キスを」
「………は?」
「犬塚。キスしてくれ」
竜蛇は犬塚に覆い被さるり、唇を指先で軽く撫でながら、おどけた調子で言った。
「噛みつくのは無しだ」
「ふざ、けるな………っ」
今なお続く玩具の責めと排泄感に震えながらも犬塚は竜蛇を睨み付ける。竜蛇は笑みを深めて顔を寄せてきた。
「ふざけてなんかいない。愛しているよ。犬塚」
「は、愛だと……これが?………こんなの……ぁ……愛なんかじゃないッ」
「愛がなにかも知らないくせに」
「竜……んっ」
竜蛇は小刻みに震える犬塚の唇に唇を重ねた。柔らかく啄むようなキスに犬塚はされるがままになっていた。散々酷い真似をしたくせに、酷く優しい口付けだったから。
「……ん………ぅん」
きつく閉じたままの犬塚の唇に竜蛇は舌を這わせねっとりと舐めた。
ちゅっと可愛らしい音を立てて啄み、犬塚の唇を含むように包み、舌で愛撫した。
じっくりと唇を食まれ、犬塚の閉ざした口が緩む。こうしてキスされている間も玩具によって下肢を責められ続けているのだ。
「………ぁう、は、あぁ………」
犬塚が小さく喘いだとき、竜蛇の舌が咥内に潜り込んだ。
犬塚の舌に竜蛇の熱い舌が触れて、犬塚はビクッと体を揺らした。竜蛇は性急ではなく、ゆっくりと濃厚な接吻を犬塚に与えた。
「………犬塚」
「………う、ん……ん……ふ、ぅ」
吐息を与え合うような甘い接吻だった。欲望ではない他の何かで満たされてしまうような口付けだ。
どうして………こんな………。
この状況にそぐわないような甘いキスに、犬塚は溺れてしまいそうだった。
こんなキスは初めてだ。愛しい者に対する接吻など犬塚には無縁だったから。
「……はぁ、あ」
「いい子だ………可愛い、愛しているよ」
そっと唇をほどいて、竜蛇は犬塚の頬を優しく撫でた。そして、両手を犬塚のアナルとぺニスに伸ばす。
「は、ぁ!………あ!」
「解放しろ」
「やめッ………で、出るッ……!!」
ゆっくりとブジーとアナルプラグを抜いていく。
「どっちが? 両方出してかまわない」
犬塚は左右に首を打ちふり、悲痛な声で哀願した。
「あ、だめだッ………もぅ………ひぃ、あ!……頼む………竜蛇ぁッ」
「見せてくれ。無様なお前も愛しい。お前を愛している。支配して、狂わせたい。お前の全部が見たいんだ」
「………あ………やぁ、も、無理ッ…見るなッ!………み、ないでぇ……ッ……ひぃ、あ、あぁああ………ッ」
アナルと尿道から同時に引き抜かれ、犬塚は断末魔のような哀れでか細い悲鳴をあげて………排泄と同時に射精してしまった。
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