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第17話 END

堀田が触れた先が自分の大切な場所であり、堀田には触れてほしくない場所。大瀬は顔を真っ赤にして弱々しくか細い声で堀田をちらりと見る。 「そんなとこ、き、汚いし…触らないで…」 「汚くないよ。大丈夫」 大瀬に触れる手はゆっくり上下して大瀬のモノを可愛がる。堀田は大瀬の様子を見ているが、大瀬はというとこの状況に頭が追いつかず、そして堀田から与えられる快楽に抑えることができない嬌声を漏らす。 「ぁ、っ…う、…っや、やだ…やめ、… 」 「嫌?気持ちよくない?」 気持ちよくない?と堀田は聞くが、扱かれているそれの先端からは透明な雫が漏れだしており、堀田の手を汚していく。気持ちよくない、とは言えない反応をしていた。 きっとわかって聞いているんだろうと、大瀬は恨めしそうに楽しそうな笑みを浮かべる堀田を睨んだ。うる、と涙の滲む目で睨まれてもまったく迫力はない。こんなときにも爽やかなにっこり笑顔を返されるだけだ。 「嘘だよ。気持ちいいよね?こんなに俺の手濡らしてるし」 「っわ、わかってるなら…きかないでよ…っあ!」 途端に上下する手が速くなった。 ぐちゅぐちゅといやらしい水音が大瀬の脳内に響きわたり、それが自分が出しているもので、堀田によって行われている行為だと思うとさらに性器は堀田に触れて欲しくて主張するように先走りを零す。 「あっ、あぅ、ほったさん…っ、イく…っイっちゃう…!」 「うん、いいよ。イくとこ見せて」 「やっ、みないで、みっ…っんんあ!」 左手の掌で先端をぐりぐりと擦られ、右手は激しく性器を擦る。いやいやと大瀬は首を振って弱々しく堀田と腕を握るがその手は止まることはない。そうして限界がくると大瀬は体をびくんびくんと痙攣させ勢いよく射精した。 「わ、すごいでた。大瀬さんあんまり抜かないの?」 どろりと濃く大量にでてきた精液に、堀田は少し驚いたような顔で大瀬の顔を見る。たしかに普段そんなに自慰というものをしないため、溜まっていたといえば溜まっていたかもしれない。けれど今の大瀬にはそんなこと考える大量も、答える気力も残っておらずただひたすら天井を見上げ呆然としていた。 「大瀬さん?大瀬さん!!?」 呆然とする大瀬の顔が段々微睡んできて瞼がどんどん下がっていく姿を見た堀田は、自分のズボンを脱ごうとしていた手を止めて、まさか!?と大瀬の体に触れて呼びかける。 「ちょっ、まって大瀬さん!俺まだ…あー!もう!」 完全に脱力し意識を手放した大瀬をみて、堀田は頭を抱えた。下半身を晒したまま気持ちよさそうに、幸せそうにすやすやと眠る大瀬をみてしまったら、無理に起こして続きをする気も失せる。 とりあえず、脱衣場からタオルを拝借してそれをぬるま湯で濡らし、大瀬の体を拭きながら体を抱き抱えてベットに下ろし、風邪をひかないよう布団を被せた。 「ごめんね、大瀬さん…トイレ借ります」 普段見ることの出来ない寝顔をスマホでこっそり撮ったあと、申し訳なさそうにでも致し方ないといった様子で大瀬から勝手に了承を得て、下半身を慰めるべくトイレへと向かうのだった。 ◇ 「おはようございます!」 月曜日。 いつものようにフロアに爽やかな笑顔と明るい声が響き、それにつられてみんなも仕事をしていた手を止め返事を返していく。大瀬はその声にああ、来てしまったと瞼を閉じた。 堀田はひとりひとり雑談混じりに挨拶を交わしていき、ようやく一人の前の席にたった。 いつも俯きがちだった堀田は、その影に気づいて顔を上げる。そこには先日気持ちを交わしたばかりの愛しい人の笑顔。 「おはようございます、大瀬」 「おはようございます」 あの日から初めて会社で会う日。 気づいたら大瀬はベットで寝かされており、堀田の姿はなかった。変わりにスマホにメッセージが届いており、『ごめん、仕事で呼び出されちゃったから帰るね。好きだよ、大瀬さん』とだけ残されており、ようやくそこで自分が寝てしまって、堀田を置いてけぼりにしたことを思い出し顔がサッと青ざめた。 でも怒っている様子は、その文面から感じられない。仕事でということでどこかの営業先にでも呼び出されたのだろうか、だったら電話するのは気が引ける。そのメッセージに、『ごめん。仕事頑張って』と返した。 そんな状態で迎えた日が、今日だった。 「週末、あいてます?」 「え?」 挨拶の後、間髪入れずに問いかけられた言葉に思わず声が裏がえる。堀田は柔らかな笑みを浮かべたまま、こっそり、周りに聞こえないよう唇を堀田の耳に寄せた。 「今度こそ続き、させてね」 「っ!」 悪戯っぽくはにかんで、パッと堀田は大瀬から離れた。囁かれた耳を思わず手で押さえて、赤くした顔で堀田を見る。大瀬の口は何か言いたげに開くが、閉じられ、またなにか言おうと開いては閉じるを繰り返し、見るからり困惑した顔で堀田を見たが、堀田はそんな大瀬を構うことなく誰かに呼ばれ『はーい!今行きまーす!』と返事をして立ち去った。 残された大瀬は、遅れたお茶が持ってこられるまでの間、今夜のことを考え頭を抱えながら、いつもより進まない雑務に、パンチを握るのだった。 END (本編完結・番外編を少しずつ更新します)

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