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第4話
嘘だろ。思考回路どうなってんだよ。
彼氏いるのに誰かとヤるなんてただの浮気だろ。
何が慰めて?だよ。
流石にこれは下半身アホ王子も断るよな?
「⋯いいですよ」
いいのかよ!!やっぱりあの人はただの下半身ユルユルクズ馬鹿アホ王子だ!!
「そのかわり、今度からは桜音じゃなくて俺のところに真っ直ぐきてくださいね?」
「はぁ〜い」
え⋯。まさか、俺のためにわざと⋯⋯?
いやいやいや、あり得ない。あの人はただヤリたいだけだ。
というか俺、ここからどうやって抜け出せばいいんだ?
今更ながらに自分の状態に焦る。
まさかこのままヤりだしたりしないよな?
だってあの人は俺がいる事知ってるんだから。
ぐるぐると考えていると、不意に衣摺れの音が聞こえて。
思わず聞き耳をたてる。
「ね、この彼氏のキスマーク、俺ので上書きしていいですか?」
「え〜?バレなきゃいいよぉ?」
「それとも⋯⋯ココに新しくつけちゃおうかな?」
ココってどこの事だよ!
思わず、教卓の隙間から覗き込む。
すると桃神先輩は、ミカ先輩の足を広げた内腿⋯最早そこは股?な足の付け根にキスをしていた。
「や〜ん、彼氏とエッチしたらバレちゃう〜」
「じゃあこれが消えるまで、彼氏とエッチしちゃダメですよ?」
クスクスと笑うあの人の目が、一瞬俺の事を見た気がして息を呑む。
それからはもう、目を瞑って、耳を塞いだ。
ミカ先輩の生々しい喘ぎ声と水音。
時々漏れる、桃神先輩の吐息。
早く終わってくれとしか、思えなかった。
***
しばらくして。
「じゃあまたよろしくねぇ〜」
そう言ってミカ先輩が去っていく音が聞こえた。
それとは別に、コツコツと教卓に近付いてくる音がする。
「大丈夫?長くなってごめんね、桜音⋯桜音?」
反応のない俺を訝しんで、肩に触れようとする。
「触るなっ!!」
パシン、とその手を振り払った。
だけど桃神先輩はそんな事を気にする素振りも見せずに、俺を見て言葉を失っていた。
あぁ、もう最悪だ。よりによってこの人に見られるなんて。死にたい気分だ
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