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第2話

「ん?あ、ミカ先輩、桜音おはよー」 にっこりと、それだけ見れば、本当にそれだけ見れば王子様のように笑った。 「今日もカッコイイね〜。今日も⋯えっちする?」 「んー?先輩は少しお預け覚えた方がいいですよ?」 「そんなぁ〜」 何だこの茶番。 立ち止まる義理もないので、そのまま通り過ぎようとしたら腕を桃神先輩に掴まれた。 「桜音?挨拶くらい返そうね。⋯バラしちゃうよ?」 「っ、アンタ卑怯だぞっ!!」 「はいはい、挨拶は?」 「——っ、はようございます!」 「うん、おはよー」 桃神先輩は挨拶をすれば簡単に手を離して、ミカ先輩とまた向き合った。 何だ一体!焦った俺がアホらしいじゃないか! *** 「桃神は長男だからね。面倒見が良いというか、礼儀正しいというかねー」 「はぁっ?!あれが?!」 生徒会長に朝の事を愚痴れば、意外な事実を告げられる。 俺がそれを疑うように声を上げれば、生徒会長は苦笑いした。 「普段はチャラ男で取っ替え引っ替えだけど、懐に入れた相手には凄い親身だし優しいよ。だからこそ友達が一杯いるんだろうし」 「た、確かに⋯⋯」 確かにあの人はチャラ男の癖に友達が多い。 普通なら女の子を取っ替え引っ替えしてたり、ダラシない人には類友というか似たような人しかいないイメージだ。 だけどあの人は真面目な人から、大人しい人、明るい人、色んな友達がいるしそれぞれが上辺じゃなく本当に仲が良さそうなのだ。 「よく言われてるよ、あいつに本気で惚れられた相手は幸せだろうなって。スパダリに違いないってね」 そんな会長の言葉に俺は内心鼻で笑った。 あの人が本気で人を好きにになる訳がない。

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