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第5話
着いたのは、この間とはまた違う空き教室⋯というか、資料室た。
ご丁寧にシーツを敷いたマットまで置いてある。
「どーぞー。ここは本当に秘密の部屋だから、誰も来ないよ」
「⋯⋯じゃあなんでマット置いてあるんですか」
「俺が寝るためだけど?やだー、桜音ったらえっちー」
きゃー、とアホらしい仕草で自分を抱き締める桃神先輩。
あぁ、もう!さっさと本題に移ろう!!
「唐突ですけど、俺を抱いて下さい」
そう言えば、桃神先輩は虚を突かれたようにポカンとした。
「本当に唐突だね?やっぱり、あの日のセックスが忘れられなかった?」
「違います。ちょっと悩み事があって、セックスしないと分からないんですよ」
「悩み事?」
「絶対言いませんけどね」
うーん、と顎に手を添えて唸る先輩。
下半身ユルユル馬鹿なら、簡単にいいよ〜とか言うと思ったのに。
「⋯⋯言い方?」
「は?」
「人に物事を頼む時には言い方があるよね」
いきなりの言葉に思わず眉間に皺を寄せる。
要は俺に、『抱いて下さい、お願いします!』と言えって事だろうか。
そう俺は考えていたのに、先輩が放った言葉は想像の上をいくアホな台詞だった。
「桜音が可愛く、『桃神先輩のおっきなおちんちん、昴のえっちな下のお口に挿れてズポズポってしてっ!!』って言ってくれたらいいかな!」
「は?⋯⋯はぁっ?!」
「恥じらってくれたら尚よし!」
ふっざけるな!そんなこっぱずかしい台詞、大っ嫌いなアンタに言えるか!好きな人でも恥ずかしいわ!!
「こっちは本気で悩んでるってのに⋯!もういい⋯」
アホらしくなって、ゲイバーでも何でも行ってやる、と身を翻したら先輩に腕を掴まれた。
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