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宿り木の下でKissをしようよ6

「ちゃんとしなくちゃってさ。俺、誠実さとは無縁な人間だけどさ、おまえにだけは、ちゃんとしなくちゃってずっと思ってて。だから…これ、買ってみたんだ。セフレやめて付き合おうぜって渡すつもりでさ」 「っっ」 ……もう、ダメだ。もう、無理だよ。こんな……こんな…… 込み上げてくる熱い想いが、雫になって溢れ出す。こんなサプライズ、ちょっとズルすぎる。 祥悟が目を剥き仰け反った。 「だからー。泣くなっつーの。泣きやめよ」 「うん。ごめ、ごめんね、祥」 祥悟が優しく抱き締めてくれる。 これ以上、泣かせてどうするつもりだろう。 「やり直したいよな。俺、もうちょっと自分の気持ち、よく考えりゃよかったし。そしたら俺ら、もっとずっと一緒にいられたじゃん」 深い悔いを滲ませた祥悟の呟きに、智也は泣きながら首をゆっくり横に振った。 「一緒にいたよ。もう…20年以上、前から。俺と君はずっと、そばにいられた。きっと、あれは2人にとってちょうどいい距離だったんだって、俺は思っているよ」 智也は祥悟の腕を外して、逆に彼の身体を抱き締めた。 「長くかかった分だけ、俺たちはきっと幸せになれるよ。俺はね、祥。待つことなんて、少しも嫌じゃなかったんだ。君が君らしさを失うことの方が、嫌だった。だから…君は後悔しなくていいんだよ」 胸に顔を埋めて、まだちょっと納得いかなげにすりすりしてくる祥悟の髪を、智也は優しく撫でた。 なんて愛おしい存在だろう。 あの出逢いの日、自分の元に舞い降りてきてこんな幸せをくれた天使なのだ。 「君のそばにいられた20年は、俺の大切な宝物だ。幸せだった。君に出逢えて。これからもずっとそばにいてくれたら、俺は他には何も望まないよ」 祥悟がもぞもぞと顔をあげる。そんな哀しい顔はしなくていい。君に後悔させる為に、そばにいたわけじゃないんだ。 「んじゃ、これ、受け取ってくれる?」 「もちろんだ。嬉しいよ、祥」 「あ…でも、それってさ、小指用のリングじゃん?デザインも随分古いし…買い直した方がいいかも」 ちょっと焦って取り返そうとする祥悟の手から、智也は箱を掲げて遠ざけた。 「いや。これでいい。君の気持ちのこもったこれがいい。ねえ、祥…。俺も、君に贈りたいものがあるんだ」

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