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『Kissの意味』8※
智也は一緒に画面を覗き込むと
「君のここに、キスしてもいいかい?」
「へ?……別に、いいけど? つーかさ、さっきからなんで俺だけ裸だよ? おまえもいい加減、服脱げって」
全裸で膝の上に抱っこされて、すっぽりと包まれてしまっている状況が、急に恥ずかしくなってきた。祥悟は腕の中でジタバタしながら、智也のシャツの襟を掴んでぐいぐい引っ張る。
「ほら、早く脱げよっ」
「わかったわかった。そんなに引っ張らないで、破れちゃうから。でもね……」
智也はふふっと意味深に笑って
「君が裸で、俺がきっちり服着てるってシチュエーション、なんだかよくない? あ。こんなラフな格好じゃなくてね、俺がスーツとか着込んでたらもっといいかなぁ」
……うわ。また出たっ。俺のよく分かんねえ、智也のフェチ。
「…………」
嬉しそうににこにこしている智也の顔を、祥悟は眉を潜めて見つめた。この後、本格的にエロいことに突入なら、どうして服を着ている方がいいのか、さっぱり理解できない。
「……じゃあさ、おまえはずっと服脱がねえの? 着たまんまするっていう……プレイ?」
祥悟の質問に、智也は目を丸くして
「プレイ? ……あー……うん、そういうことか」
……は? だから~。何が、そういうこと、なんだよ?
智也はますますにこにこすると
「祥。君って悪い子だね。もうその気になってきたのかい?」
「はぁ?」
「いや、悪い子じゃなくて、いい子だよね。わかった。じゃあね、君のリクエストに応えてそのプレイ、早速やってみようかな」
……?!?!?
「ああ? ちょっ、誰が、リクエストなんか……あっ」
智也はいそいそと祥悟の身体をソファーに直接座らせると、立ち上がって、祥悟の前に跪き、手を取って恭しく掲げて
「手の甲へのキスは、敬愛」
言いながら祥吾の手の甲に、そっとキスを落とした。
「君は今、下僕(しもべ)にかしずかれるお姫さまだよ、祥」
囁いて、何度も優しく手の甲にキスする、智也の唇の感触が擽ったい。祥悟が思わず手を引っ込めると、智也は愛おしげに祥悟のお腹辺りに視線を落とした。
「綺麗だな……。君の身体。白くてすべすべだ」
うっとりと智也が見つめる先は、たしかに細く引き締まった自分の腹だ。けれど、そのすぐ下には、剥き出しになったペニスがあって……
「……っ」
祥悟は慌てて無防備におろしていた両脚を、ぐいっと上にあげた。智也に裸を見られるのなんか、慣れっこのはずだ。そこだって、見られるどころか舐められたことだっていっぱいある。
それなのに、今日は何故だか、ものすごく恥ずかしくて、智也の視線を感じただけで、全身がかっと熱くなった。
曲げた両脚で、下腹を智也の視線から庇う。
……ああ~……もう訳わかんねえし。今更、智也相手に羞じらうとか、どうなってんだよ、俺っ
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