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『Kissの意味』11※
祥悟はふぅっと深呼吸すると、両脚をゆっくりと左右に開いた。挑むような目で、智也を下からすくい上げるように見て
「ここにキス、しねえの?」
「……っ」
智也は小さく息を飲み、祥悟に促された場所に視線を落とす。剥き出しのペニスは既に勃ちあがっている。でも祥悟が指さしたのは太ももだ。
「ここへのキスって……どんな意味なのさ?」
口の端をきゅっとあげて薄く笑う祥悟の瞳が、濡れて煌めく。智也はごくり……と唾を飲み込んだ。
「あ、ああ。太もものキスは……支配、だね」
一気に余裕を失い、上擦った声で呟く智也の目は、祥悟の白い太ももとペニスの間を、うろうろと彷徨っている。
2人の間に流れる空気が変わった。祥悟は内心ほっとして、狼狽える智也の目をじっと見つめた。智也の目は強い欲情をたたえている。
「じゃあここに、キス……してよ」
艶めいた祥悟の囁きに、智也は震えるような吐息を漏らすと、祥悟の前に跪き、両脚を掴んだ。ぐいっと押し広げて、その間に顔を埋める。
智也の熱い息が、内ももにかかった。柔らかく無防備なそこにそっと唇が押し付けられる。
「……っぅ」
ちゅっと音を立てて、キスされた。その唇が肌をぬめぬめと滑っていく。ざらっとした熱い舌の感触。
……ああ……気持ちよくって、ぞくぞくする
祥悟はうめき声を押し殺しながら、手を伸ばして智也の髪を掴んだ。
内ももを智也の熱い吐息と舌が這い回る。柔らかい肉に吸い付いて、所有の証を刻んでいく。
ちり……っと痛みを感じる度に、甘い疼きが沸き起こった。
他人には決して晒さない脆弱な場所を、さらけ出しているという危うさが……堪らなくいい。
この口付けは、支配の意味。
でも、支配してるのは智也?
……それとも自分?
捕らわれてしまったのは、智也と自分のどっちなのだろう。
智也との出逢いを思い出す度に、不思議な気持ちになる。
うるさいマネージャーのお小言から逃げ出して、智也のいる控え室に飛び込んだ。
匿ってくれる代わりにと差し出した、気紛れなキス。あの時軽い気持ちで与えた唇が、もしかしたら全ての始まりだったのかもしれない。
捕らえたはずが、囚われてしまった。おそらくは、お互いに。
エロいキスの仕方を教えてよ。
そう言って、自分よりずっと大人な雰囲気のこの男にまとわりついた。
今思えば、奇妙なことだ。
あの頃、己の周りにトゲを張り巡らせていた自分。自ら他人に近づいていくなんて、智也以外にはしたことがなかった。
まったくの無自覚だったけど、あの時から自分は、智也のことが好きだったんだろうか?
……好き? ……好きってなんだよ。俺があの時好きだったのは里沙で……。
智也の舌が際どい場所を掠める。智也が動く度に、髪の毛が勃ちあがったものをさわさわと擽っている。快感にきゅっと内ももが引き攣れた。次々に沸き起こる甘い痺れが、身体の真ん中に熱を溜めていく。
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