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『Kissの意味』12※
「……っん……んぁ……っ」
智也の舌が、内ももだけでなく、脚の内側全体を下から上へと何度も舐め上げてくる。甘ったるいぞくぞくが次から次へと走り抜けて、身体中が熱く熟れてじっとしていられなくなる。
祥悟は手の甲で自分の口を塞ぎながら、もう一方の手で智也の髪を掻き回した。
まだ肝心な場所には触れられていないのに、どうしてこんなに感じてしまっているのか分からない。自分の脚がこれほど強烈な性感帯だったなんて、この年になって初めて知った。
「……っく……んぅ……っんっふ」
「祥……声、殺さないで。もっと……聴かせて」
……ああ、イヤだっ。声なんて出したくないっつの。何だよこれ、ヤバすぎる。すっげーいいっ。変な声出ちまう。やだっ。
智也の若干マニアックな趣味に付き合って、エロい夜を過ごしたことなんて、正直、数え切れないくらいある。快感に乱れまくったことだって……。
感じて声を出すことに、躊躇いなんかなかった。主導権を完全に握られるのだけは悔しくて、時々夢中になり過ぎる自分を自制することはあったけれど、智也に抱かれて奔放に乱れるのは、ストレス発散の楽しいゲームみたいなものだったのだ。
……くっそ。なんで俺、こんな、意識しちまってんのさ。
変な声を聴かれて、引かれるのが怖い。
乱れる自分の顔は、ブサイクだったりしないのだろうか?
感じ過ぎて敏感過ぎて、呆れられるのが怖い。
智也に……ほんのちょっとでも、嫌われるのが……怖い。
……怖い? はぁ? 俺、なに言っちゃってんのさ。だってこいつは……。
自分の脚越しに、智也と目が合った。
熱っぽい眼差し。普段の整った穏やかな顔に、艶のある男の色気が滲む。
「……っ」
その目で見つめられただけで、ずくんっと下腹に衝撃が走り抜けた。
やばい。やばい、やばい。
「どうしたの?祥。……もしかして、ちょっと苦しい?」
顔にくっつきそうなほど、脚を折り曲げられているから、苦しがってると思ったのか、智也がそう言って手の力を緩めた。気遣わしげに眉を寄せ顔をあげようとする智也の頭を、祥悟は焦って押さえつけて
「ちっ、違うっ苦しいとかじゃ、ねぇから。ばか……っ、やめるなってば」
今、智也が顔をあげたら、腹にくっつきそうなほど反応してしまったペニスが丸見えになる。いや、この体勢でも見えているとは思うが、正面からまじまじと見られたら、きっと自分は動揺してしまう。
今夜の自分はなんだか調子が狂ってる。妙に恥ずかしがっている自分を、智也に知られたくない。
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