21 / 175
『Kissの意味』14※
「な、なあ、智也。ダメだ、それ、もう、無理……っ」
切羽詰まった祥悟の声に、智也はますます目を丸くする。
「え。イきそう? もう我慢出来ない?」
慌てて手を離そうとする智也に、祥悟は焦れったくなって腰を揺らした。
「責任、取れよっ。俺をこんなおかしくしちまった、責任取れよな!」
祥悟はもがきながら、長い脚で智也の身体をぎゅっと挟んで
「智也……俺、俺さ。おまえのこと、好きだわ。好きで好きでどうしようもねーの」
「……え……っ」
「もう降参だろ。こんなん、我慢出来るわけ、ねーし。くっそ、ムカつくっ」
「えっちょっと、祥……っ」
「顔、見んなって。すげーバカみたいだからさ、俺」
祥悟はそう言って顔を背けながら、挟み込んだ脚で智也の身体を揺らして
「おまえの、熱いの、俺にぶち込んでよ。キス、なんかじゃ、足りねーし」
「祥……っ」
智也は背けようとする祥悟の顔を、がしっと両手で挟んで覗き込んだ。祥吾の目が涙で滲んでいるのを見て、息を飲む。
「欲しいの? 俺のこと。そんなに欲しい? 我慢出来ない?」
祥悟は恨めしそうに智也を睨みつけ
「おまえさ、鈍感すぎるっつーの。挿れてよ、智也。俺ん中さ、おまえので、いっぱいにしてよ。俺、おまえ大好きだから。だからさ、すっげー今、ひとつに、なりてーの」
恥ずかしそうに、消え入りそうな声で呟く祥悟に、智也はゴクリと唾を飲み込んだ。
「祥……」
祥悟がおずおずと脚を外す。智也は息を荒げ、噛みつきそうな勢いで、祥悟の唇を奪った。
びりびりと痺れるようなキスだった。絡まる粘膜が互いの熱と欲を奪い合う。
……ああっすげえっ……いい……ったまんない……っ
もっともっと欲しい。もっと奥まで繋がりたい。自分と相手の境界が消えてなくなるくらい、智也とひとつに混じり合い溶け合いたい。
祥悟は、智也の頭の後ろに手を回し、ぐいっと引き寄せた。
ずっと、欲しかったのは、これだった。
求めていたのは、渇望していたのは、これだったんだ。
「んっふ……んくぅ……っんぅ」
初めから、智也は与えてくれていた。自分からは何もねだらず、こうして熱い想いを伝え続けてくれていた。
鈍感なのは、智也じゃない。
こんな大切なこと、見過ごしてきたのは……自分の方だった。
ともだちにシェアしよう!