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『Kissの意味』16※
「ぅっ……っく……ぅ……」
ソファーに座った智也の脚の間にしゃがみ込み、祥悟は屹立を下からつーっと舐め上げた。智也は眉を寄せ、微かに呻き声を漏らす。その感じている表情に男っぽい色気が滲み出ていて、祥悟はちょっと見とれてしまった。
「口でしてくれたら嬉しい」と、あんなに幸せそうな顔で言ったくせに、智也は何故か完全に動転してしまっていた。「もう1度、シャワーを浴びてくる」と、祥悟を放置してリビングから出て行こうとする。
……おいこら。冗談じゃない。素っ裸でもう昂ぶりきっている俺を置いて、今さらシャワーだなんて。
祥悟は智也の腕を掴んで引き戻し、ソファーに座らせた。ちょっと怒ったような顔を見て観念したのか、まだそわそわしながらも大人しく座っている智也の前に跪く。さっき途中まで剥きかけた智也のものに、下着の上から指を這わせた。
智也はせつない表情のまま、祥悟の髪の毛をそっと撫でて
「無理は、しなくて、いいよ。君、こんなこと慣れてな……」
「ばか。それ以上言うなっての。俺がしたいの。おまえは大人しく感じてろ」
指を絡めて下から優しく撫であげると、智也のそれはまるで別の生き物みたいに、ビクビクと震えた。
なんだか不思議だ。
智也のここを触るのなんか、もちろん慣れているはずだ。なのに、今日はやけに愛おしく感じる。自分とのキスで興奮して反応しているのが、可愛くって仕方ない。
もっともっと感じさせてやりたい。自分の愛撫で、智也を気持ちよくさせてやりたい。
……そんなの、俺。今まで思ったこと、なかったじゃん。
調子が狂っているのは自分だけじゃない。智也もだ。いつも割とポーカーフェイスでこちらの要求に淡々と応じていたくせに、今日の智也は反応がいちいち可愛い。
……っつか。可愛いって……。
祥悟は指を絡ませ舌でちろちろと舐めながら、上目遣いにそっと智也の表情をうかがった。
欲情している男の顔。それも見慣れているはずなのに、目元をうっすら染めて、せつなげに自分を見下ろす智也の目に、自分への深い愛情が宿っているのが伝わってきて、なんだか……いたたまれない気持ちになる。
……ずっとこんな目で、見ていてくれたのかよ、おまえ
ポーカーフェイスの仮面の下で、もしかしたら自分の気紛れな態度に、一喜一憂していたかもしれないのだ。
この優しい男は。
解けなかったパズルのピースがかちっとハマった時のように、ひとつが分かると連鎖して解けていく答え。目の前の霧が晴れていくようにクリアになっていく、智也と自分の重なる想い。
幼かったあの日、控え室で自分から智也に仕掛けたキス。
あのキスの意味が、今頃になってわかってしまうなんて。
祥悟は握る手に力を込め、愛しい男の脈打つ熱に心を込めて口づけた。
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