26 / 175
『Kissの意味』19※
「ばぁか。そんな、泣くなって。いいから泣きやめってば」
智也は祥悟の身体を包み込むように抱き込んで、何度も何度も頬擦りしてくる。
突然のショックは、既に過ぎ去っていた。びっくりはしたが、そんなに嫌なことじゃなかったのだ。
「だって、祥。吐き出して、くれたら、よかったんだ。どうして、そんな、無理するの。気持ち、悪かっただろう?」
ゆらゆらと揺さぶられ、智也の大きな身体にすっぽり包まれて、気持ち悪いどころか、祥悟はすごく満たされた心地だった。自分よりずっと大人でいつも冷静だったこの男が、自制が効かず思わずイってしまうぐらい、気持ちよかったってことなんだから。
……そんな哀しい声で泣くなよ。俺はすっげー嬉しいんだからさ。
「気持ち悪いわけ、ねーじゃん。う、まぁ、あれ流石に美味いってもんじゃないけどさ。イっちまうの我慢出来なかったってことはさ、すっげー気持ちよかったってことじゃん」
「そうだけど。まさか君の……口に出しちゃうなんて。ほんと……ごめん」
祥悟は智也の頬を両手でぐにーっと摘んで
「それ以上ぐずぐず言ってんな。俺がやりたかったんだからいいんだよ。それより智也。続き……しねえのかよ? 俺、むずむずしてんだけど?」
智也の濡れた瞳が揺らめく。
「しても……いいの?」
「あったりまえじゃん。つか、まさか自分だけイって終わりじゃねえよな? こんだけその気にさせといてさ」
祥悟は言いながら、智也の上に覆いかぶさっていく。情欲の滲んだ妖しげに煌めく祥悟の目に、智也は魅入られたような顔で固まっていた。
「なぁ。焦らすの、なし。もう俺、我慢出来ねえの。
……挿れて?」
智也はごくりと唾を飲み込むと、無言で頷いた。
ソファーの背もたれに両手をついて、智也に背を向け、誘うように尻をあげた。
焦らすのはなしだと言ったのに、あの後、智也はたっぷりと時間をかけて、祥悟の後ろを嫌になるくらい丁寧に解してくれた。ローションまみれの中をぐちょぐちょに弄られて、イキそうになっても根元を縛られて、熱の解放を許してくれない。
祥悟の身体は、爆発寸前まで昂らされていた。
……やっぱ前言撤回。可愛くねーし。鬼だろ、こいつ。
いけないスイッチが入った智也は、割と鬼畜だと思う。前を縛められたまま、中をぐずぐずになるまでいじられて、もう無理だっていってるのに、焦らしまくられる。
「背中へのキスの意味は……確認だよ」
後ろから抱き締められて、背中にそっとキスされて、それだけで堪らないくらい感じた。
……キスの意味とか、もうどうでもいいっ。早くっ
「……っ智也……も……っ無理」
「我慢……出来ない?」
「……っん……挿れて……っなぁ、智也っ俺ん中、こいよ……っ」
泣きそうな声が出る。熱くなった奥が、固い楔を求めてわなないている。これ以上焦らされたら、本当におかしくなる。
「……挿いるよ」
智也の掠れた囁きに、期待が高まって、カーっとあそこが熱くなる。
やがて、待ち望んでいた灼熱が押しあてられた。祥悟は背もたれをぎゅっと掴みしめ、お尻を更に突き出す。
……っくる……っ
ともだちにシェアしよう!