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『Kissの意味』20※』
「んっは……っぁ……ぁ……っぅ」
ぐちゅっと音を立てて、智也のものが狭い窄まりをじわじわと割り開く。丁寧に解されたそこは、智也の大きなものを咥え込むには充分な柔らかさのはずだ。でも何度経験しても最初のこれだけは、ちょっと冷や汗が出そうな違和感を伴う。
快感の入り混じったその感覚は、おそらく自分の中に異物が侵入してくるという生理的なおののきだ。
祥悟は唇を引き結び、掴みしめた背もたれにぎゅっと爪を立てた。
「祥……大丈夫?」
智也が背中に重なってきて、耳元にそっと囁く。そこから背中にぞくぞくするような甘い痺れが走り抜け、思わずびくっとしてしまった。
「……だ……ぃ……じょぶ……っもっと……こいって」
ぐちゅぐちゅと水音をたてながら、智也は入り口に馴染ませるように熱い先端をじりじり押し付けてくる。
さっきはまでは結構な鬼畜ぶりを発揮していた癖に、今度はもどかしいくらい遠慮がちに、こちらの身体を労わってくる。
思えばこいつとのセックスは、荒れた自分が手酷さを要求しない限り、いつだって気持ち良さしか感じさせない慈愛に満ちていた。自分のその時の気持ちに寄り添うように攻め方を変えてくれた、智也のしなやかな包容力。甘えていたのはいつだって自分の方だった。
穏やかで優しい控え目なこの男が、自分との交わりで本当に求めていたものは何だったのだろう。それはきっと、今日の智也の涙が教えてくれた。
いつも甘えさせてもらってばかりだった智也を、今日はぐずぐずに甘やかしてやりたい。こんな自分の身体で歓びを感じてくれるなら、智也が一番望むやり方で抱かれてみたい。
自分の中からどうしようもなく溢れ出てくる、この甘酸っぱいような気恥しいような気持ちが、世間で言うところの愛とかいうものなのだろうか。
だったら、見返りも期待せずに黙々と待ち続けてくれたこいつに、自分の愛情の全てを与えてやりたい。
……うわぁ……愛って。すっげ恥ずかしいこと考えちゃってるし、俺。ダメだ。顔が火照る。智也の顔、見られないじゃん
「祥? まだ……痛い? ここ、緊張してるよね?」
気恥ずかしさに独りで悶えていたら、不意に智也の心配そうな声が降ってきた。
「……っ平気、だっての。いいから、もっと、入ってこいよ」
智也の大きな手が、優しくこっちの両手に重なった。
……ああ。あったかいよな、お前の手。早く来てよ、智也。俺とひとつに、なって
「いくよ……力、抜いて」
「……っんっ……んあっ」
ずず……ずず……っと押し引きを繰り返しながら、智也のペニスが潜り込んでくる。
全身の毛穴が一気に開く。
一番太いエラの部分が、狭い隘路をこじ開けていく。
固くて熱い智也の命が、自分の熱とひとつに溶けて混じり合っていく。
……智也……っ
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