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『Kissの意味』23※

幾度目かの突き上げの後、込み上げてくる恐怖にとうとう耐えきれなくなって、智也に止めてくれと言おうとした瞬間、ぶわっと意識が宙に浮いた。苦痛と紙一重の快感が一瞬で霧散して、全身が重みを失っていく。 ……わ……‍なんだ、これ‍? 身体中の毛穴から空気が抜けていくような開放感。しっとりとした優しい靄に包まれて、沸き起こる悦楽は、身体だけじゃなく心にも深い歓喜を呼び起こす。 祥悟は目を閉じて、この不思議な安らぎに意識を集中した。 ……ぁあ……すっげぇ……いい気分……。 急に喘ぐのを止めた祥悟に、智也ははっとして動きを止める。 「祥……‍? 大丈……夫‍?」 不安そうな智也の声に、祥悟はふふ……と笑いながら振り返り 「ん……気持ち、いいよ、智也。おまえ、最高……っ」 「祥……」 なんだかドギマギしている智也の頬に、手のひらを当てる。 「なあ? 智也……。おまえの顔みて、したい。……いいか? おまえの、感じてる顔、見ながらしてえの」 とろんとした笑みを浮かべる祥悟に、智也はほっとしたように微笑んだ。 「ああ……ああ、もちろん」 智也の手が腰から離れ、打ち込まれた楔がずるっと抜けていく。自分のそこが楔欲しさにひくひくと収縮した。 肩で荒い息を吐く智也を、自分の隣に引っぱるようにして座らせると、入れ替わりに祥悟はふらふらと立ち上がった。さっきの浮遊感のせいか、身体に力が入らず、よろけて智也に覆いかぶさりそうになる。 「祥」 「やっべ……腰、抜けてる」 智也が差し伸べる手を支えにして、体勢を立て直すと、祥悟はにやっと笑いかけ 「な、もっと、突き出してよ。次は俺が、上になるからさ」 言いながら、ソファーに座る智也の上に跨った。ローションと先走りで濡れた智也の切っ先を掴んで握ると、その上にそろそろと腰を落としていく。 「おまえ……デカすぎ。……んっ……入んねえ、だろ……っ」 楔が抜けた後、ぽっかりと口を開けたままだった窄まりに、智也の熱い先っぽが触れる。 「……っく……ごめ……」 あてがったまま、馴染ませるように、祥悟は両脚を座面に突っ張らせながら、腰を前後に揺らしてみた。 ふと、顔をあげると、智也が食い入るようにこっちの下腹を見つめている。

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