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智也&祥悟BirthdaySS「君と僕の生まれた日」9(最終話)
祥悟のことになると、普段より冷静さを欠いてしまう自覚はある。
特に、彼の肉体関係の噂には敏感になってしまう。相手が男ならは尚のこと。
きっと自分は独占欲が強すぎるのだ。
セフレとしては。
「本当にごめん……苦しかったよね」
「もう謝んなっつーの。俺もイラッとしてキツイこと言って悪かったし。でもまあ、強引なのは嫌いじゃねえけどさ、あの状態でイかせてもらえねえのは超きついかも。おまえってさ、えっちの時は意外とドSなのな。マジでビビった」
くすくす笑う祥悟の言葉に、智也はますます肩を落とした。
我ながら、さっきの自分の言動を思い出すと冷や汗が出る。嫉妬にとち狂うというのは恐ろしいものだと思い知った。
「でもさ、おまえんとこ逃げてきて、やっぱよかったんだ」
祥悟はそう言って、壁の時計を指差した。
「お。12時まわった。今日は1月22日だ。俺と、おまえの、誕生日な」
智也も顔をあげて時計を見つめる。
「すげえ偶然だよな。おんなじ誕生日ってさ」
「うん。本当に、そうだよね」
前に祥悟に言われて、同じ日だと知った時は本当に驚いた。不思議な縁を感じて心が震えた。出逢うべくして出逢ったヒトなのだ…と思ったりもしたのだ。
「俺さ、生まれてきてよかったとか、物心ついた時から、正直一度も思ったことねえの。でもさ、里沙と一緒に暮らしてた時はいっつも、この日は2人の誕生日だった。あいつがすげえ嬉しそうに、一緒に生まれてくれてありがとうって毎年言うからさ。俺の中ではちょっと特別な1日って感じなのな。だから一人暮らし始めてから、誕生日に1人でいるのってなんか落ち着かなくてさ」
祥悟の意外な打ち明け話に、智也は表情を引き締めた。祥悟はそういう記念日的なことには無頓着なイメージを、勝手に抱いていたのだ。
「いっつも里沙とお互いにおめでとうって言い合ってたからさ。自分だけお祝い言われるっつーのも、なんか落ち着かないんだよね。だから、おまえがおんなじ日だって知ってさ、誕生日はおまえと一緒に過ごすって、なんか勝手に決めてた」
そう言って苦笑する祥悟に、智也はにっこり笑って
「ふふ。じゃあ俺は里沙さんの代わりなのかい?」
途端に祥悟はぷっと頬をふくらませて
「……ダメかよ?」
「いや。すごく……光栄だよ。祥」
智也は囁きながら、祥悟に顔を寄せた。
そんな大切な1日を自分と過ごそうと思ってくれていた祥悟の気持ちがすごく嬉しい。
これから先、1月22日は、自分にとっても最高に特別な日になるのだ。
向かい合わせに見つめ合うと、祥悟はちょっと照れたように笑って
「な、な。さっきのえっち、もう1回やり直そうぜ?」
「……いいの?身体、辛くないかい?」
「だってさ、変な薬のせいで、訳わかんなくなってたし。おまえのここ、もっとじっくり感じてえし?」
悪戯な祥悟の手が、股間をまさぐってくる。
……もう……そんなこと言うなんて。……またその気になってしまうよ。
「いいよ。君が望むなら、何度でも」
智也は内心ドキドキしながら、祥悟の唇にそっとキスを落とした。
ーEndー
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