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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」6※

「祥。これ、見てくれっ」 ドアがバタンっと開いて、智也が飛び込んでくる。 祥悟は心地よい微睡みを邪魔されて、きゅっと眉を顰めた。 「うっさいなぁ……」 智也はバタバタと駆け寄ってきて、ベッドに腰をおろした。スプリングが弾んで身体がふわんふわん揺れる。……うっとおしい。 「祥、また寝てたのかい?もう10時だよ」 「んあー。耳元で騒ぐなっつの。今日は休みじゃん。俺はもっとゆっくり寝てえの」 文句を言いながら布団を頭から被ろうとすると、すかさず智也の手に阻止された。 「ダメだよ。もういい加減起きるの。もう…何回紅茶を入れ直させる気なの、君は」 引き剥がされそうになる布団を掴んで、祥悟は智也の顔をじとっと睨みつけた。 「2度寝の邪魔すんな。噛むぞ?」 智也はぷっと噴き出して 「もう…ケモノなの?君は。そんな脅し方があるかい」 くすくす笑いながら屈み込んで顔を寄せてきた智也が、頬にちゅっとキスをする。垂れかかる髪の先が、さわさわと顔を掠めて擽ったい。 休日の朝に起こされて2度寝を決め込み、紅茶の香りを纏った優しい恋人に頬にキスをされてまた起こされる。 なんだか甘ったる過ぎてこそばゆいが…こういうのも悪くない。 祥悟は顔をズラして、智也の口づけを唇で受け止め、舌をチロっと出して誘うようにペロっと舐めた。 智也の目が見開かれる。 そのまま誘いに乗るように、口づけが深くなった。 「ん……ふ……んぅ」 割り入ってきた熱い舌を、絡めとって扱く。 本格的に覆い被さってきた智也の背中に腕をまわして、更に深くなった交わりをじっくりと堪能した。 「はぁ……」 口づけをほどくと、智也が感じ入ったような吐息を漏らす。祥悟がちろっと流し目をしてみせると、智也は苦笑して 「もう…朝から誘わないで。その気になってしまうよ」 「俺は別にいいけど?」 にやりと笑うと、智也は少し欲情した熱っぽい眼差しで、せつなげに見下ろしてきて 「じゃあ、襲っちゃうよ?」 祥悟はふんっと鼻を鳴らし、両腕を伸ばした。 「こいよ」 智也はまたせつなげに甘い息を吐き出すと、両手を掴んでのしかかってきた。 自分の挑発にその気になって、情欲の色を滲ませる智也の、その艶めいた眼差しが好きだ。雄の色気だだ漏れのその瞳に見つめられると、身体の奥にじわっと火が灯る。 「俺が食べたい?智也」 「……欲しいよ。君の中……挿いりたい」 熱い吐息とともに、顔中にキスをされて、身体の熱がどんどん上がっていく。 昨夜の濃厚な交わりの名残で、ソコはまだ柔らかく熟れているはずだ。智也のソレを思い浮かべただけで、ジンっと熱く疼き出す。 「挿れて、おまえの。突っ込んで掻き回して?」 ねだる自分の声も甘く掠れていた。

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