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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」27

「……雅紀のくせに、生意気」 「へ?」 ボソッと呟くと、雅紀はきょとんと首を傾げた。 祥悟はニヤリと笑ってみせると 「で。暁くんとはどんなえっちしてるのさ?ちょっと実地で教えてよ」 雅紀の顔がみるみる強ばる。 「や。教えません!」 「ケチだな、雅紀。いいから教えろって。キスしてから乳首?それともあいつのアレ、咥えてやったりするわけ?」 雅紀の顔が、ボンっと音が聞こえそうな勢いで赤くなる。ぷるぷる震えながら、ソファーの上で後退るのを、捕まえて上からのしかかった。 「キスは前にしたから省略でいいよ。その後は?雅紀の乳首ってひょっとしてピンク?ちょっと見せてよ」 「やっ、無理です!ダメです!祥悟さんのバカっ。や、だめっ、引っ張らないで。破けちゃうからっ」 ふわふわの真っ白な毛で縁取られた上着の前合わせを開き、色白の胸元に顔を埋める。ドレスの胸は程よくふくらんでいた。きっと自分と同じように詰め物をしているのだろう。 「ちぇ。この服って脱がせにくいよね。俺のみたいに前開きの方がいいのにさ」 祥悟はブツブツ文句を言いながら、上は早々に諦めて下半身へと手を伸ばした。 「ま、いいや。じゃあさ、さっきのエレベーターでの続き、しようか。あのえっちな下着って暁くんが買ってくれたの?」 「やぁっ、や、だめっ、そこ、触っちゃ、」 スカートをたくし上げ、中に手を突っ込んだ時、腕をガシッと掴まれた。 「そこまでだ、祥悟」 暁の声だった。 ……ちぇ。もう来たんだ。いいとこだったのにさ。 祥悟は舌打ちすると、雅紀を見つめた。 雅紀は泣きそうに歪めていた顔を、ぱぁっと一気に明るくして 「あっ、あきら、さんっっ」 「悪ぃ。遅くなった。つか、祥悟、どけっ」 乱暴に腕を引っ張られて、祥悟は渋々のろのろと、雅紀の上から身体を起こした。 「ちょ、痛いなぁ、暁くん。ほんと君って野蛮人だよね」 「うるせえ。ふざけんなよ、祥悟。てめえ、雅紀に何してやがる!」 「何もしてないってば。親交を温めてただけだし?」 ぐいぐい引っ張る暁の手を振りほどき、下から這い出ようとする雅紀をすかさず抱き締める。 「ね?雅紀。これから俺たち、いいことしようとしてたんだよね?」 雅紀は腕の中でもがもがしながら、必死に暁を見て救いを求めている。 ……ちぇ。何それ。ムカつく。 せっかく、雅紀の優しさに包まれて、穏やかな気持ちになっていたのに。もっとこの子といろいろな話をしてみたかった。 「おい、手を離せって。雅紀、嫌がってんだろーが」 苛立つ暁に、腕を掴んでねじ上げられた。 「早瀬くん、ちょっと」

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