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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」31※

智也の手が上から胸元に伸びてきて、ブラジャーを掴んだ。そのままむしり取られるのかとハッとしたが、長い指先が真ん中から忍び込み、膨らみを作っていたパッドに触れる。 祥悟は頬のすぐ横にある智也の顔を、ちらちらと気にしながら、ガラスに映った自分を見た。 黒髪のウィッグを外されると、うっすらと化粧をしていても、もうこれはいつもの自分と変わらない。それなのに、何故かすごくエロい気がする。 パッドを抜き取られた瞬間、祥悟はピクっと震えた。パッドを掴む智也の指先が、敏感な粒を掠めたのだ。思わず微かに呻いて智也の手を掴む。 「あ、ごめん。痛かった?」 顔を覗き込んで囁いてくる智也の目が、ちょっと悪戯っぽく笑っている。 ……こいつ。わざとかよ。 祥悟はその目を睨みつけてから、ぷいっとそっぽを向いた。 「別に?」 「そう。じゃあ外すよ」 途中まで抜いていたパッドをズルズルと引き抜く。さっさと抜き取ればいいのに、焦らすように少しずつなのは、絶対にわざとだ。 智也はもう一方もじりじり擦りながら抜き取ると 「見て?ちょっといやらしいよね?」 ガラス窓を目線で指し示す。 パッドがなくなりたわんだブラは、本来真っ平らの自分の胸に、頼りなくまとわりついている。 智也の言う通り、その違和感が背徳的で妙にエロい。 「君の肌、白いから、余計に艶かしいな」 智也は吐息混じりに囁いて、ブラの上から手をあてた。布の余ったブラのレースのざらつきが、押し潰されていた乳首をチクチクと嬲る。 智也の指が、布越しに尖りをまさぐり、見つけた途端にそこだけ集中的に弄ってくる。 直に触られるより、布の感触と共に弄られる方がすごく感じてしまう。 祥悟はピクピクと震えてしまいそうになるのを、必死で堪えた。 さっきから調子が狂っていて、まんまと智也の思う壷になっている気がするのだ。 それが悔しい。 尻と違って、乳首はかなり敏感な方だ。 普通に触られてもどうしようもなく感じるのに、このシチュエーションで弄られるとヤバい。 甘い痺れが次々に沸き起こり、身体の奥へとむず痒く走り抜けていく。 触られているのは胸だけなのに、腰の辺りがムズムズしてきて、下腹に甘い熱が溜まってきた。 ダメだ。じっとしていられない。 変な声が出てしまいそうだ。 「祥……感じてる?我慢しなくていいんだよ?」 耳たぶに唇をそっと触れさせながら、智也が中低音のいい声で囁く。 この声もダメだ。 昔から、智也の声がすごく好きなのだ。 こんな声で囁かれたら、余計にスイッチが入る。次々繰り出される多方面の刺激に、全身が熱く火照ってきた。 「…っ智也、」 「なんだい?」 「シャワー、…っ、浴びてくる」 「待って。もうちょっとだけ」 ……待てないっての。感じすぎて、変になる。

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