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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」33※
「離せってば。えっちすんならさ、シャワー浴びていろいろ準備しなきゃ、だろ?」
智也の腕の中から逃れ出ようとするが、思いの外がっちりと後ろから抱き締められて振り解けない。
「うん。それは俺が後でやってあげるからね。今はこのままここで、君の可愛い姿、見ていたいんだ。……ダメかい?」
智也は耳たぶをはみはみしてきて、感じやすいうなじに吐息を吹きかけながら囁く。
ぞくっぞくっと痺れが背筋を走り抜け、抗おうとする手から力が抜けてしまった。
ちょっとせつないような哀願口調なのに、何故か有無を言わさない響きがある。
祥悟は諦めて、もがくのやめた。
別に、意識し過ぎないようにしていればいいだけだ。目を閉じて、智也の気の済むまで、好きなようにさせてやればいい。
「わかった。いいよ。智也の好きにすれば?」
若干不機嫌につんつんしながら答えると、智也はうなじに顔を埋めてきて
「ありがとう。祥。好きだよ……」
魅惑の低音ボイスで囁く。
……っ、だから、それ、やめろって。
祥悟は、声が出そうなのをぐっと堪えて目を瞑り、窓ガラスを見ないように横を向く。
智也は再び手を伸ばしてきて、両方の乳首をさわさわと弄り始めた。
「…っ、ぅ……」
気持ちいい。
智也はこの身体のどこをどうすれば感じるのか、たぶん自分より熟知してるのだ。何しろ10代の頃からずっと、智也の愛撫に慣れてきた身体だ。
……ちぇ。やっぱあれってさ、調教みたいなもんだったんじゃねーの?
知らずに慣らされて、智也の色に染められている。
おそらくそうと意識してやってたわけではないだろうが、もし意識してならば智也は相当のワルだ。
つぷっと突き出してきた快感の粒が、智也の巧みな指先の動きで、熟れてますます感度を増した。下から掘り起こすように何度も何度も擦りあげられ、きゅっと強めに摘まれる。
「……っ、ぅ、……っ、」
かろうじて声は抑えていられるが、身体は勝手にピクピク跳ねて、感じているのが智也に丸分かりだ。
祥悟はきゅっと眉を寄せ、キツく瞑っていた目蓋を少しだけ開いて、ガラス窓を見た。
じっとこちらを見つめている熱っぽい眼差しと目が合って、ドキンっと心臓が跳ねる。
「……っあ、ぁあ…っ、」
鋭い快感が走り抜け、思わず声が出てしまった。慌てて口を噤むが、身体のビクつきが抑えきれない。
「可愛い……。感じてるね、祥。君のここ、いつもより敏感だ。ぷくっとふくれて勃ちあがってる」
わざわざそんなこと、説明しなくていい。
どんな風になってるかなんて、自分でも分かってる。
「…っ智也、おまえ……っ、しつこい」
「ふふ。ごめん。君があんまり気持ちよさそうな顔をするから、可愛くて止められなくなった。じゃあ、次はこっちを可愛がってあげるね」
智也の手が胸から外れる。ホッとしたのも束の間、その手がそろそろと下に向かった。
……っ、そっちもここで?や、ダメだって。
ここは高層階で真夜中だ。外からこれを見ている人間はいない。
……とは言え、外から丸見えのこの状況で、女装を暴かれて下までエロい姿を晒すなんて……。
「智也、や、…っダメだ、……って、……っっぁ」
止める間もなく、スカートの後ろのホックが外された。ファスナーを下ろされ、柔らかい材質のスカートがするリと滑り落ちる。
「…っ」
ブラとお揃いの黒の総レースの下着。ご丁寧に同じデザインのガーターベルトまでしている。
ガラス窓に映ったそれを、うっかりまともに見てしまって、祥悟は羞恥に顔がカッと熱くなった。
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