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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」34※

「ばか、智也、やめろってば、こんなのみっともな…」 「綺麗だよ、祥。それにすごくいやらしくて……そそられる」 熱っぽい囁きで遮られて、祥悟はう…っと言葉を詰まらせた。 ……綺麗じゃ、ねーし。グロテスクじゃん 我ながら、馬鹿なことをした。こんな下着、選ばなきゃよかったのだ。恥ずかしくて顔が燃えるように熱い。 「な、智也、やっぱベッドに…っあ、」 智也の手が伸びてきて、ガーターベルトに触れる。指先が優しくレースを撫で、肌の上をつーっと滑っていく。 面積の狭い女物の下着は、前のふくらみを覆うのが精一杯だ。脚のつけ根からベルトで吊ったストッキングまでの間は、素肌が剥き出しになっている。そこに、智也の長くて細い指が伸びていった。 恥ずかしいのに、ガラス窓に映るその淫靡な様子から目が離せない。 際どい場所を掠めて、指がつけ根をそっと擦る。 「ん……っ、ぁ…っ」 智也の広い胸に頭を預け、祥悟は低く喘いで身を捩った。そっと触れられただけなのに、怖いくらい感じてしまう。ショーツの中に窮屈に閉じ込められているペニスが、じん…と熱を持った。 「どうしたの?今日の君、なんだかすごい感じてるみたいだけど」 「…っう、っさい、ばか、…っあ、」 脚のつけ根をさわさわされているだけなのに、いちいちビクつく自分の身体の反応に、自分だって戸惑っている。 「今日の祥は、すごく可愛いな……」 囁く智也の声だって、ちょっと欲情して掠れている。 ガラス窓をそっと見ると、その視線が自分の下腹を熱っぽく見つめているのが分かってドキドキした。 自分に欲情している時の、智也の表情が好きだ。普段、にこにこと穏やかで落ち着いた雰囲気なのに、こういう顔をすると妙に雄っぽくて男の色気が滲み出る。 欲しいと思ってくれているのだ、自分を。そう思うだけで身体の奥の熱があがる。 つけ根を撫で回す手が、さり気なくまた下着の中で息づく雄を掠めた。 焦らされて、ムズムズする。 祥悟は自ら腰を前に突き出した。 「…さわって?」 「どこを?」 「…っ言わせんな」 「言って?どこをどうして欲しいの?君の口から聞きたいよ」 「…っ」 祥悟は唇を噛み締めた。 今日の智也はまた例の変なスイッチが入っている。こうなると、この男は結構いじわるで頑固なのだ。 祥悟は腰を揺らして、智也の手にそこを押し付けるようにして促すと 「下着ん中、」 「ああ。もう大きくなってきてるね、ここ。……触って欲しいの?」 ……っ、いちいち聞くなっつーの! 祥悟はふくれっ面で智也の顔を横目で睨みつけながら、こくんと頷いた。 「そう。じゃあ、触るね」 手が太ももからじわじわと上がってくる。薄いレースの下着の上から、大きな手のひらがそっと覆いかぶさってきた。 自分の雄がピクっと震える。また、はしたなく育ってしまった。こんな小さな布地では隠しきれないくらいに。 「窮屈そうだよ、ここ」 智也は耳元でうっとりと囁きながら、手のひらをぴったりとそこに重ねた。 はぁ……っと大きな吐息を漏らし、祥悟はいっそう腰を前に突き出す。 包まれるぬくもりが気持ちいい。 そこは急所だからこそ、安心して委ねられるのが嬉しい。 もっと乱暴に鷲掴みにしてくれていい。 ふくらんだそこを、智也の長い指で弄られたい。もっと、強く。 「指、…っ動かしてよ」 思わずねだっていた。もっと直接的な刺激が欲しい。

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