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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」39※
「大丈夫?」
優しく問いかけられて、祥悟はハッと目を開けた。まだ敏感なソコを触られて、ビクッと身体が跳ねる。
イった直後に、不覚にも少し飛んでいたらしい。そのまま絨毯に寝そべってくったりしている間に、智也はタオルをお湯で濡らして戻り、後始末をしてくれていたのだ。
「ん…大丈夫…な、わけ、ねーし」
「いっぱい出たね。気持ちよかったんだ」
智也はこちらの不機嫌に気づかないのか、股間を拭いながら満足そうに微笑んでいる。
「服……汚れた。どーすんのさ」
「シャワーのついでにその下着は洗うよ。どう?もう立てるかい?」
祥悟はのろのろと身を起こし、智也の表情を窺った。さっきから、不機嫌そのもののこちらの憎まれ口を、智也は完全に無視してる。やっぱりまだ怒っているのだ。勝手な行動をしたことを。
……んな怒んなくたっていいじゃん。いつもみたいにちょっと雅紀を揶揄っただけだし。
「足、力入んねーし」
ボソッと文句を言うと、智也は立ち上がり、かがみ込んできてこちらの身体を抱えあげた。
「うわ、」
「じっとしてて、お姫さま」
智也はふふっと笑うと、洗面所に向かって歩き出す。何も文句は言わずあくまでも優しい微笑みを崩さない。
それが……なんとなく不気味だ。
洗面台の前で降ろされた。
「足、まだ力入らないなら、掴まっててね」
台に手をつき、鏡に映る智也の顔をそっと見る。智也は穏やかな笑みを浮かべて、乱れて皺のよった上着を肩から脱がせ始めた。
「クリーニングサービスに出してしまってもいいかもしれないな」
「別に。着替え持ってきてるからさ、そこまでしなくていいけど…」
肌蹴ていたブラウスも肩から抜き取り、台の上に放ると、智也はようやく顔をあげて、鏡の中で目を合わせた。
鏡に映るのは、ふくらみをなくした黒いレースのブラをつけただけの自分の姿。幸い、下半身は見えていないが、まるで自堕落な娼婦みたいな格好なのだ。
祥悟は慌ててぷいっと目を逸らした。
「ふふ。やっぱり君は、どんな格好をしても綺麗だな」
……綺麗じゃねえじゃん。下品だろ。
「出逢った頃も息を呑むくらい美しい人だったけど、最近は艶っぽさに深みが増したね」
ズレたブラの上から乳首をまさぐり始めた智也を、目だけあげてじとっと睨む。
「おまえそれ、本気で言ってんの?単に老けただけだろ」
鏡の中の智也がじっと見返してくる。その目がちょっとさっきより哀しげで、ハッとした。
「君のことで、俺は嘘なんか言わないよ。いつだって、本当に思ったことを言ってるだけだ」
「でも俺知ってるぜ?おまえのタイプってさ、ほんとうは雅紀みたいなふわふわした可愛い美人系じゃん」
智也の意外に真剣な口調に動揺して、つい余計な言葉が口をついて出る。
智也はす…っと笑顔を消した。
「誰がそんなこと言ったの?早瀬くん?」
「は?どうしてそこに暁くんが出てくんのさ?あいつが言うわけないじゃん…っあ、」
乳首を強く摘まれて、ビクッとなる。
「君はまだ、……足りないみたいだな」
何が?…と問う暇もなく、もう一方の手でペニスを握り込まれた。
「あっ、くぅ、…っ触んな、そこまだ…」
「じっとしてて。君の後ろ、ほぐすから」
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