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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」42※
「ほら。鏡、見ろって」
「や。やですっ」
「なーんでだよ。恥ずかしがるなって」
さっきから、暁が促すと、雅紀は指のすき間からちろっと鏡を見ては、ぷるぷる首を振って指を閉じる。その繰り返しだ。両手で自分の顔を隠しているので、鏡の方を向いた雅紀の背後に立つ暁としては、悪戯し放題なのだが……。
「見ないんなら、こっちも触っちまうぞ?」
「や。だめっ」
白いカクテルドレスは脱ぎ捨てて下着だけになっている雅紀の、面積の小さい女物のショーツに覆われた尻を、さわさわと撫で回す。
「ダメじゃねーの。触んなきゃ続き、出来ねえじゃん」
今度は前に手を回し、パッドの外れたゆるゆるのブラの上から、きゅーっと乳首をつまみ上げる。
「んぅっ、ん、ん、」
腕の中の雅紀はピクピク震えながら、可愛く鳴いた。ブラをちょっと下にズラして、ちょこんっと顔を出した乳首を直に摘んできゅっきゅと引っ張る。
「あ、んあっ、ぁあ、」
喘いで雅紀がピクピク震える度に、後ろにぴたりと身を寄せた暁の下腹が、雅紀の小さい尻で擦られる。
……ああ……やっべ。気持ちいっ。
さっき、雅紀の口で果てたばかりのソコに、またジワジワと熱が集まってくる。
「なあ、そろそろさ、この中の方、弄らして?」
暁がちょっと甘えた声でねだると、雅紀は指を開いて隙間から鏡の中の暁をちろっと見て
「……ここで、ですか?」
「うん。おまえの顔、見ながらがいい」
暁がにこっと笑いかけると、雅紀はうーうー唸ってから
「もう……暁さん、そういう顔はズルいってば」
……や。おまえのそういう可愛い態度の方が反則だからっ。
暁は内心突っ込みながら
「な?いいだろ、雅紀」
少し屈んで耳たぶをはみはみして、低い声で囁いてみる。雅紀はぷるっと震えて耳たぶまで真っ赤にして、頷いた。
洗面台のローションボトルを掴んで、蓋を開ける。
「んじゃ、ほぐすぜ?」
また指を閉じて俯いた雅紀に念を押してから、ローションを手に取り人肌に温めた。
「足、もっと開いてお尻突き出して?」
雅紀がもじもじしながら、そろそろと足を左右に開く。
「手で台のとこ、掴んでろよ」
そう言うと、指がまた開いて、潤んだ瞳が鏡の中の自分を恨めしげに見つめた。
……そういう顔も、誘ってるだけだっつの。
暁は無言で首を傾げてみる。反論を諦めたのか、雅紀はようやく顔から手を外し、台の端っこを両手で掴んだ。
鏡は見ないように、目を伏せる。
暁は、手を雅紀の尻の方におろして、ショーツの片方のリボンをするっと解いた。
引き締まってはいるが、丸みの可愛い綺麗な尻が半分顔を出す。
それをじっと見ながら、ローションをつけた方の指を、狭間へと滑り込ませた。
「ぁ…っ」
尾てい骨から溝をなぞるように下に滑らせていく。雅紀は微かに喘いで小さな尻を揺らした。
この辺りはすごく敏感なのだ。暁は焦らすようにゆっくりと指を動かした。
やがて、ショーツの中に潜り込んだ指が最奥の窄まりに到達する。指先でマッサージするように優しく押しながら、入口にローションを馴染ませた。
「ぁ……ん…っ、ん……」
雅紀は長い睫毛を震わせながら、微かな吐息を漏らした。
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