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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」45※
雅紀の中の引き攣るような感覚が消えて、動きが滑らかになった。そろそろいいだろう。
暁は荒くひと息吐き出すと、雅紀の真っ赤になった耳に唇を寄せた。
「雅紀。手、ぎゅーっと掴んでろな。離すなよ、絶対に」
雅紀は涙の粒をくっつけた睫毛を震わせながら薄く目を開いた。
「脚、持ち上げるぜ?」
ぽやんと自分を見つめながら、小さく頷く雅紀にウィンクをして、暁は少し屈んでもう一方の脚をすくい上げるようにして持ち上げた。完全に浮いた状態に、雅紀が息をのみ身体をきゅっと強ばらせる。
「大丈夫だ。ちゃんと支えてるからな」
雅紀はぎこちなく微笑んだ。
「怖いか?……やっぱやめるか?」
暁がそう言うと、雅紀はぷるぷると首を横に振り
「気持ち、い……だい、じょぶ、信じてる、から、暁さんの、こと」
健気で愛しい雅紀の答えに暁はきゅんっと胸を締め付けられて、思わず雅紀の鼻先にちゅうっと口付ける。
「可愛いぜ、雅紀。おまえって、ほんと、可愛すぎだ」
ずり落ちないように壁に縫い付けたまま、雅紀の小さな尻を両手で支えあげ、暁は腰をゆっくりと突き上げた。両脚を浮かせた雅紀の身体を自分の昂りと両手だけでしっかりと支えている。普段の体位ならば逃げる余地がある交わりが、雅紀の自重で深さを増す。苦しくないように痛くないように、それだけを気にしながら、暁はじわじわと腰を揺らした。いつにない緊張感からか、雅紀の内壁はペニスを痛いほどに食い締めてくる。密着感がすごい。
「っく、痛く、ねえか?」
荒い吐息の合間に暁が囁くと、くぅくぅ鳴いていた雅紀が瞬きしながら目を合わせてきた。
「ん……はぁ……だ、いじょぶ…んぅ…っもち、い、」
「無理、すんなよ…っ」
「あき、ら、さ…っの、おっきぃ……あつい……っ」
舌足らずのトロリとした声で、雅紀が伝えてくれる言葉に、暁の愚息が反応してヒクリと跳ねる。
「んっぁあ…っ」
「ばっか…っ、煽るな、っつの」
尻を腕で持ち上げながら、背骨が壁に当たらないように手のひらで保護して、暁はいったん腰を引いてからまた突き上げた。
熱い粘膜が複雑に絡みつき、暁の熱棒を擦りあげる。堪らない痺れが込み上げてきて、暁はもう何度目かわからない激しい射精感を必死にやり過ごした。
「ん、んぁ、ぁぁん…っんあ、あぁん…っ」
首にしがみつく雅紀の指が背中に食い込む。その痛みですら愛おしくて気持ちいい。
「まさ、っき、っく、そろそろ、」
気持ちよすぎてもう持たない。腰がガクガク震えて、内股も痙攣している。
「んんっ、んあ、ぁ、きてぇ?もっと…ぉ」
雅紀の甘ったるい哀願に、暁はその唇を口で塞ぎながら腰の動きを一気に速めた。
繋がった唇から互いの呻きが漏れる。
……ああっ、イ……っく、
暁はぎゅっと目を瞑り、根元まで押し込んで動きを止めた。
押し寄せてくる悦楽の波に、そのまま身を任せる。
収縮する雅紀の中で、自分のペニスがぶわっと膨らみ、堪え続けた熱情が弾け飛ぶ。
ひゅっと喘いでしがみつく雅紀を、思い切り抱き締め息を詰めた。
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