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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」47※

「ごめんなさい……俺」 「ばーか。なんで謝ってんだよ。それよりさ、気持ちよかったんだよな?辛くて気い失ったとかじゃねえよな?」 雅紀はベッドに横たわり、シーツを目の下まで引き上げて恥ずかしそうにしている。暁はその上に覆い被さって、雅紀の目を覗き込んだ。 「うん、だいじょぶ。気持ちいくて……飛んじゃっただけです……」 消え入りそうな声で答えて、目元を更に薄く染める雅紀が可愛い。暁はほっと安堵のため息をつくと 「そっか。おまえ、急にがくんってなるから焦ったぜ。いつもより……よかったのか?」 「……ぅん……」 暁は形のいい鼻の先っぽにちゅうっと吸い付いてから 「俺もだよ。たださ、腰と足がガタガタだ。明日は酷えことになりそうだよなぁ」 苦笑すると、雅紀もくすくす笑い出した。 「もう……無茶するからです。暁さんのお馬鹿」 「あ。ひでぇ。おまえがエロくて可愛いのがいけねえんじゃん」 心も身体も繋がって満たされた後の心地よい気怠さと、雅紀とのこの他愛もない戯れが愛しい。 そっとキスを落とすと、雅紀の唇は柔らかくほどけて暁の舌を受け入れ、ちゅぷっと吸い付いた。 「ん、っふ…ん、んぅ……」 穏やかにはみあう優しいキス。事後の心地よい気怠さを甘やかに包み込んでいく。 こういうのを至福の時と言うのだろう。 暁はそっと口づけをほどいた。雅紀の小さな唇は赤く濡れてふっくら美味しそうだ。疲れたのか、目はとろんとしている。 「少し……寝るか?」 「ん……暁さん……」 「なんだ?」 柔らかい髪を優しくかきあげてやると、雅紀はちょっと照れたように目を微妙に逸らして 「後でね。暁さんの体力、回復してからでいいから……もう1回……ここでしたい……」 恥じらいながら囁く雅紀の言葉の破壊力に、暁は息を飲んだ。 ……うっはぁ……な、なんなの、こいつ。も~マジでエロ天使っ 暁が言葉を失ってるのを見て、雅紀はちょっと焦った顔になり 「あ、あの。無理なら、いいです。ただ……せっかく素敵なベッドだから……こっちでも、その……」 ……無理なわけねーじゃんっ。 「や。いやいや、大丈夫だ。ん、んじゃさ、少し休んだら、また…しようぜ」 慌ててそう言うと、雅紀はまたじわじわと耳まで紅くして、こくんっと頷いた。

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