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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」51
「さっき俺ら、洗面ルームで愛し合ってたの。君たちも同じでしょ?」
祥悟は部屋のチェックを終えると、ベッドの端に腰をおろして、スラリと長い脚をこれみよがしに見せつけるように組んだ。
……なんで分かるんだよ?おまえはエスパーか名探偵かっつーの。や。いやいや、待て落ち着け。また俺、こいつに乗せられてんだろっ。
「おまえらがどんなえっちしてたかなんか聞いてねえっつの。おい、そこ座るなよ。いいからもう出てけって」
堪りかねて暁がつかつか歩み寄り、上からキツく睨み下ろすと、祥悟は下から掬うように見あげてきて
「どうだった?鏡の前でえっちするの。いつもより興奮したんじゃない?」
まるで見ていたような図星をつかれ、暁は思わず目を泳がせた。
「うっ…うっせー。んなことしてねえし」
「ふふ。暁くん、照れてる。君って意外とうぶだよねぇ」
暁は慌てて自分の顔を手で拭うと
「おまえさ、何がしたいんだよ?頼むから人の邪魔してねえで、おまえらはおまえらで楽しめよ」
げんなりしてきて暁がボヤくと、祥悟は目を輝かせ身を乗り出してきた。
「ねえ?暁くん。せっかくの素敵な夜でしょ。こんな贅沢なスイートルームに、偶然にも同じ夜に泊まってるんだしさ。4P……してみない?」
「はあっ?」
暁は口をあんぐり開けて、祥悟の楽しそうな顔をまじまじと見つめた。
……こいつ今、なんつった?は?4P?…ってなんだよ、それ。や、それは…つまり…
「らっ、乱交してえって言ってんのか?ばっ…馬鹿か、おまっ、誰がんなもん、」
祥悟はわざとらしく耳を両手で押さえて
「っも~うるさいって。そんな怒鳴らないでよね。君、動揺し過ぎだし」
「おっ、おまえがふざけたこと抜かしやがるからだろーが!」
喚く暁からぷいっと目を逸らし、祥悟は少し離れたところから様子を窺っている雅紀を横目でちろっと見ると
「ね。雅紀。君はどう?やってみたくない?」
唐突に水を向けられて、雅紀は目を大きく見張ると、首をぷるぷる横に振った。救いを求めるように智也と暁を交互に見つめてくる。
「君だってちょっとは興味あるでしょ?他人がどんな風にえっちしてるのかって。あ……それとも自分のセックスに自信満々なのかなぁ?暁くんのこと、ちゃんと満足させてあげられてるって自信、あるんだ?」
畳み掛けられて、雅紀は急に不安そうに表情を曇らせた。
「俺はそんな自信ないけどね。だから気になるわけ。君たちのえっち。見てみたいんだよねぇ」
「おまっ、悪趣味だろが!他人のセックスなんか、俺は興味ねえぞ!」
「うん……ちょっと……気にはなります……」
反論する暁の言葉に、遠慮がちな雅紀の声が重なった。
……は……?
暁は思わず振り返って、雅紀の方を見る。
……今……何て言った……?
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