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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」52
「ま……雅紀?」
暁が呆然としながら声を掛けると、雅紀は焦ったように目を逸らし
「あ。えっと、その……」
「ふふ。さすが雅紀。暁くんより話が分かるじゃん」
祥悟は上から睨めつけてる暁を避けるようにさっと立ち上がると、雅紀に歩み寄って
「だよね。やっぱ抱かれる側としてはさ、自分の身体で、相手が気持ちよくなってくれてるのか気になるよね?」
雅紀は少し後退りながら暁の方をちろ…っと見た。
……おいこら、ちょ、待て、雅紀っ
暁は慌てて首を横に振る。
変なところで、雅紀の自己肯定感の低さが出てしまったらしい。このままだと祥悟のペースにまんまと乗せられる。
「や。待て待て、雅紀。おま、それはダメだ。な、いっつも言ってるだろ?俺はおまえとえっちして、満足しなかったことなんかねえって。いつだってちゃんと気持ちいいぜ?おまえ、エロ可愛いしさ、さっきだって…」
「あーぁ、やだなぁ、暁くん。そういうお惚気話は2人だけの時にしてよね」
祥悟が呆れたような声をあげる。暁は仰け反って白目を剥いた。
……おっ、おまえが、言うなっつーの。誰が言わせたんだよ。おまえが雅紀に余計なこと吹き込むからだろが~。
「ねえ?雅紀。お互いにどんな風にしてるのか、見せ合いっこしてみない?そしたらいろいろ参考になるでしょ」
祥悟が猫撫で声で囁いて、雅紀の肩を優しく抱く。雅紀はこちらをチラチラ気にしながらも、こくん……と頷いた。
……ちょ……っ、待てーーー。
「雅紀っ、んな可愛く頷いてんじゃねーぞ。ちょ、真名瀬さん、あんたも黙ってないで何か言ってくださいよ~」
暁は思わず情けない声で智也に助けを求めた。……が、しかし。
「君は自信あるのかい?早瀬くん。その、自分の抱き方が、雅紀くんを本当に満足させられてるのかって」
智也の意外な答えに、暁は言葉を失いあんぐりと口を開けた。
……ま……真名瀬さん?
「俺は正直、自信がないんだよ。だから、君たちがどんなセックスしてるのかは……興味あるかな……」
……あっ、あんたまで、何言ってるんすかーーー。って、ちょ、待て、雅紀も真名瀬さんもド天然不思議ちゃんかよっ?
これで1対3になってしまった。
自分は少数派なのか。この中で。
そんな馬鹿な。
暁はぎぎぎっとぎこちなく首を回し、祥悟の顔を見た。目が合った祥悟がドヤ顔をして笑う。
「ね?暁くん。みんな気になるみたいだしさ。……しよ?4P」
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