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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」53

可愛らしく首を傾げる祥悟を、暁は思わずぼけっと見つめてしまった。 ……しよ?4P……じゃねーっつの。するかよ! この状況は絶対におかしい。 乱交なんて普通はしない。 ……いや、昔、記憶をなくして荒れていた頃なら、誘われて酔った勢いでやったことは……正直何回かある。だがあれは、俺自身が相当やさぐれていたわけだし、今は最愛の仔猫ちゃんひと筋なのだ。 暁がキッパリと断ろうと口を開けかけると、祥悟はぷいっとそっぽを向いて 「じゃ、雅紀。ベッドに行こう?智也も」 雅紀の肩を抱いたまま、ベッドの方へと歩き始めた。智也もその後を追う。 暁は口を半分開けたまま、3人を目で追った。 ……おい、ちょっと待てって 祥悟は雅紀の肩を抱いたまま、並んでベッドに腰をおろした。 「ふふ。君って素直で可愛いね。じゃ、早速だけど雅紀、えっちする時っていつも何からするの?キス?それとも触りっこ?」 雅紀がちらっとこっちを見る。暁はブルブルと顔を横に振った。雅紀はすっと目を伏せて 「あの……キス、からです…」 「ふーん。君から?暁くんから?」 「えっと……暁さん…から」 「君がしたくなった時はどうするの?どんな風に誘うわけ?」 雅紀は膝の上の手を握ったり開いたりしている。 「説明するの苦手なら、やってみてよ」 祥悟の言葉に雅紀はおずおずと顔をあげた。 「やって……みるって……祥悟さんに?」 「うん。俺でもいいし、智也でもいいけど?」 雅紀はうーん……と首を傾げた。 正直、タイプの違う美人2人がガウンだけのしどけない姿でベッドに並んでいる光景は、恐ろしく魅惑的だ。ものすごーく絵になる。戸惑いながら小首を傾げる雅紀の姿は、見蕩れるほど愛らしい。 だが、違うのだ。 この状況は、どう考えても間違ってる。 躊躇いながら、おずおずと祥悟に手を伸ばしかけた雅紀に 「ちょっと待った!」 暁は叫んで駆け寄った。雅紀の腕をひっ掴んで抱き寄せ、祥悟から引き剥がす。 「おまっ。俺の雅紀に手ぇ出すなっ」 ぎゅーぎゅーと雅紀を抱き締めながら祥悟を睨みつけ 「そんなに見せ合いっこしてえんなら、まずおまえがやってみせろよ!」 「俺が?雅紀に?」 「だから~なんで雅紀にだよ?おまえのパートナーは真名瀬さんだろーがっ」 途端に祥悟は口を尖らせた。 「えーーー?俺が智也にするんならいつものことじゃん。それじゃ4人でする意味、ないよね?」 「いや、そもそも俺は、4人でするなんて言ってねえっつの」

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