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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」59

暁は雅紀を抱き締めたままベッドに腰をおろした。 「お仕置き……されちゃってますね、今ごろ」 「はは。意外だよなぁ。俺は最初、真名瀬さんの方が祥悟に振り回されてるんだって思ってたんだぜ?でも2人を見てると違うのな。真名瀬さん、大人だからゆったり構えて祥悟を好きにさせてるだけだ。で、締めるとこはきっちり締めてる。ああいうとこ、すげえなって思うぜ」 「ふふ。そうかも」 雅紀は頷き、うっとりしたように吐息を漏らして 「さっきの2人のキス。すごく素敵だった」 「そうか~?」 「うん。真名瀬さんの祥悟さんを見つめる眼差しが、すっごく優しくて。祥悟さんはいつもよりずーっと可愛い顔してましたよ」 暁は、さっきの2人のキスを思い浮かべた。雅紀の言う通り、祥悟はいつものクソ生意気な俺様ではなく、甘えるように智也に縋りついていた。その表情はすごく幸せそうで可愛いらしかった。 ……ったく。いっつもあんな顔してりゃいいのにな。 「や。たしかに可愛い顔してたけどな、おまえの方がもっと可愛いぜ」 そう言ってじっと見つめると、雅紀は目元をうっすらと染めた。 暁は雅紀の身体を抱えたまま、シーツに寝転がると両腕ですっぽりと包み込む。 「ね、暁さん。俺、やっぱりちょっと見てみたかったです。真名瀬さんと祥悟さんが、どんな風にえっちするのか」 暁は雅紀の頬を両手で包込んで 「おまえ、気にし過ぎなんだよ。んなもん参考にしなくたっていい。俺にはさ、おまえ以上に抱きてえ相手なんかいねえんだし、おまえとえっちする度に最高~に満足してるんだぜ」 「……昔……えっちした女の人よりも…?」 不安そうに瞳を揺らす雅紀の頬を、指で摘んでぐにーっと引っ張る。 「ばーか。んなもん比べるまでもねえぜ。俺のここは、もうおまえの形になってんの。おまえのだって、俺の形になってる。身体だけじゃねえぜ?心もな。俺とおまえはピッタリ合わさってひとつになれるんだよ」 引っ張った頬を今度は親指で撫でてやると、雅紀はほぉ…っと小さく吐息をついた。 「うん……そうですよね。うん」 暁は腰をゆるく擦りつけながら雅紀の脚に自分の脚を絡めた。

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