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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」63※
……や。やっぱ抵抗しとくべきだったじゃん
祥悟は完全に視界を遮断された状態で、ベッドの頭上の柵に両手を拘束されていた。シーツの上に横たわったまま、辺りの気配を探る。智也はいったんベッドから離れ、おそらくは洗面ルームの方へ消えた。少しすると戻ってきて、ベッドの上にあがってきたらしい。
「なあ、これ、ずっと付けたままかよ?」
ギシッとベッドが揺れた方に顔を向け、不安に駆られて問いかける。
「手首、痛い?少し緩めようか?」
思っているのとは違う方から智也の声がした。唐突に太腿をス……っと撫でられ、予期せぬ感触に身体がビクッと跳ねる。
「っや、別に、痛くねえけど……」
「君が気持ちよくてもう無理ってなったら、外してあげるよ」
太腿を撫でた指先が、ツーっと肌を滑りながら際どい場所まで近づいてくる。祥悟は思わず呻いて身を捩りそうになって、慌てて下腹に力を入れた。
ダメなのだ。目隠しは。
いつもより感覚が鋭敏になる。感じすぎて変な声が出てしまう。
「っ、とも、や…っ」
悪戯な指が足の付け根をまさぐる。あと少しズラせばソコに触れてしまう。そう思うだけで、下腹にじわりと熱がこもった。
「どうしたの?祥。まだ、ココ、触ってないよ?」
……そんなこと分かってるし。ってか、そこ、息吹きかけんなっつの。
智也の温かい吐息がその場所を掠める。祥悟は脚をもじもじと捩り合わせた。
「君、見えないと、いつもより感じるよね」
智也の吐息混じりの囁きが、ペニスをさわっと掠めて更に上にあがってくる。意地悪な指は足の付け根を緩く擦ったままだ。
祥悟は唇を噛み締めた。
油断すると絶対に喘いでしまう。
変な声で鳴いてしまう。
それが悔しくて必死に声を押し殺している。
智也の唇がヘソの窪みにそっと触れた。
「…っぁ」
ぺろんっと舌で舐められて、引き結んだ唇がゆるむ。
……あ……ダメだ、これ
どうしても漏れ出そうになる声を抑えたくても、手は頭上の柵に繋がれている。
祥悟は小さく喘いで、眉をぎゅっと寄せた。
まだ始まったばかりなのに、肝心な場所には全然触れられていないのに、下腹に熱が溜まっていく。このまま先に進んだら、どれだけ感じてしまうか分からない。
気持ちいいことは好きだ。
でも乱れ過ぎてしまう自分を、智也に余すところなく見られてしまうのは…怖い。
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