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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」76※

「な、なあ、雅紀、」 「なんでふか?」 齧り付いた乳首を唇できゅーっと引っ張りあげながら、雅紀が愛らしく答える。 「っ、や、それさ、ちょっと…痛い、かな」 雅紀はパッと唇を離した。意外そうに目を零れんばかりに見開いて 「え……痛いだけ?気持ちいくないですか?」 「んー。あ、いや、気持ちよくなくはねえけど……もうちょっとさ、こう、ぺろぺろ優しくしてくれた方が…」 本当はもう止めろと言いたい。 だが、雅紀の眼差しが哀しそうに曇るのは見たくない。 とりあえず…痛みだけは回避だ。 「優しく……。んーと……こう、ですか?」 雅紀は小さな紅い舌をちょろっと出して、先端をぺろぺろし始めた。 相変わらず、気持ちいいというよりは擽ったいだけだが、痛いよりはマシだ。 「ん。そう、だな、その…下の方からさ、ぺろんぺろんって舐めあげてみ?」 何が悲しくて、自分の乳首開発をアドバイスしなきゃいけないのだ。 でも、可愛い雅紀の笑顔の為だ。 耐えるしかない。 「こう?」 雅紀は素直に舌を少し突き出し、下の方からぺろんぺろんっと舐めあげた。 真剣な表情で自分の乳首を見つめて、口を動かしている雅紀の目が、ちょっと寄り目になっている。それがまた、何とも可愛らしくてついつい見蕩れてしまう。 不意に、自分の身体が変な感じにピクンっと跳ねた。胸の突起からじわっと何かが走り抜けたのだ。 ……は?なんだこれ…。ちょ、待て。待て待て。これって…… 雅紀のしつこい愛撫に、擽ったさだけじゃない、甘い痺れが沸き起こる。舌で掘り起こされる度に、ピクピクと身体が勝手に動く。 ……いやいや。開発されてんじゃねーよ、俺の乳首っ 変な汗が出てきた。自分でそうしろと言ったくせに、乳首で感じてしまう自分に動揺を隠せない。 『擽ってえってことはさ、ここ、おまえの性感帯のタネなんだぜ』 などと、雅紀にしたり顔で囁いていた自分の言葉を思い出す。 ……うはぁ……マジかよ。俺の乳首、感じちまってるんじゃん。 これは、まずい。 ついでに下腹にも、じんわりと熱が溜まってきてる。 これは、本気でヤバい。

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