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バレンタインデー特別番外編「幸せな誤算」91※
両胸のカップを包む手を、祥悟はゆっくりと動かし始めた。
「っ、や、しょご、さん、やだ」
「どうしてさ?男同士だもん。平気だろ?」
いつもよりちょっと低めの男っぽい声で囁かれ、雅紀はぷるるっと震えた。祥悟の指が妖しく動いて、レース生地が乳首を擦る。思わずピクンピクンっと身体が震えてしまって、雅紀は慌てて悪戯な祥悟の手首を掴んだ。
「…っだめ、です…っ」
横目で睨むと、同じく横目で覗き込んでくる祥悟と目が合う。
「ふふ。感じるんだ?そんな可愛い反応されちゃうとさ、雄の本能、刺激されちゃうよね」
「っ、浮気、しちゃだめ、です…っ」
祥悟は眉をあげ
「こんぐらい、浮気じゃねーし?じゃれてるだけじゃん」
囁きながら、祥悟の指がレースの生地ごと胸の尖りをきゅっと摘んだ。左手は下に伸びていって、背骨をつつーっと伝いながら腰に滑り落ちていく。尻の割れ目の始まりをなぞり、更にその下の尾てい骨付近へ。
そこは雅紀の弱点のひとつだ。そっと触れられるだけで、甘い痺れが沸き起こり、腰の奥から下腹へと走り抜けて熱が溜まってくる。雅紀はビクッと飛び上がり、祥悟の左手首もぎゅっと掴んだ。
「っいた、ずら、ダメですってば」
「ふふ。ここも感じる場所?雅紀って敏感なんだ?」
「あきら、さん、…っ呼びますよ?」
「だーめ。あいつ呼ぶとめんどくさいもん。お化粧出来なくなっちゃうよ?」
忍び笑いを漏らしながら囁き、祥悟はあっさりと両手の悪戯をやめた。
「残念。時間ないから、また今度ね」
……や。また今度は、ないです…っ。
それ以上されると、本当に変な声が出そうだったので、雅紀はホッとしながら内心突っ込みを入れた。
「お次はキャミソールか。このデザイン、ブラとセット?ラブドールみたいで可愛いよね」
祥悟はいつもの声音に戻ると、キャミソールの裾を広げて雅紀の頭から被せた。
少し下がって全身を眺め回し
「なるほどね。雅紀、よく似合ってる。暁くんってスケベだけどセンスはいいよね。君の可愛さ、よくわかってるもん」
「祥悟さんだって似合ってますよ?すっごい祥悟さんらしいです」
「ふふ。俺のこの格好は姉の趣味。里沙に全部コーディネートしてもらったからね」
「ええっ???」
祥悟の意外な告白に、雅紀は素っ頓狂な声をあげた。その反応に驚いたのか、祥悟が目を丸くする。
「は?なにそんな驚いてんのさ」
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