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バレンタインSS『にゃんこな君』仕返しver.(智也×祥悟) 2

「うわ……なに?」 抱きかかえた祥悟の頭がもぞもぞと動いている。智也は仰け反りかけて、必死に祥悟を抱え直してベッドに向かった。 ……なにこれ、なんだよ。何が起きて……? 「うわぁ……祥っ」 「みゅう?」 驚きのあまり、腰を抜かしかけた。 祥悟の身体を思わず放り出しそうになって、かろうじてベッドにおろす。 祥悟は身体をくねらせていた。 その頭に、予想もしていなかったものが生えている。これはいったい…… 「待って、祥、あっ頭に何か、生えてきているよ? これは……これは……まさか猫の……耳?」 「みゅぅ~…」 くねくねしながらこちらを振り返る祥悟の頭には、間違いなく猫のような耳が出現している。 そんな馬鹿なことがあるはずないのだ。 絶対にありえない。 智也は何度も瞬きをした。 ダメだった。 何度見直しても、それは消えてくれない。 「どどどどうしてこんな?うわぁ。し、尻尾まで」 あろうことか、祥悟の可愛らしい小さな尻から、長い尻尾まで生えてきている。 「みゃう……みゃうぅ」 「か……可愛い……♡……じゃなくて、祥っ。しっかりしてっ。まさか、君、喋れないのかい?」 覆い被さって祥悟の肩を揺さぶるが、事態はまったく変わらない。祥悟はとろりと魅惑的な目を細めて、愛らしく鳴いた。 「にゃーお」 ……鳴いた? いやいやいや、おかしいからっ。こんなのありえないからっ。俺は……夢を見てるのか? 「うわぁ…どうしよう。これ、なにが入ってたんだよ。あ、電話、電話で彼に聞いて……うわっ」 我に返り、携帯電話を取りに向かおうとすると、祥悟がまるで獣のような素早さで、飛びついてきた。 「みゃうっ」 のしかかられて、シーツに身体が沈む。智也は自分の上で悩ましげに身体をくねらす祥悟を、おたおたしながら抱き締めた。 「ちょっと祥、乗っかからないで、電話を」 「ふにゅう……にゃーう」 猫は……いや、ネコ耳と尻尾の生えた祥悟は、甘えた声で鳴きながら、全身をすりすりと擦りつけてくる。 ……可愛い。 こんな事態にも関わらず、思わずときめいてしまうほど、猫になった祥悟は愛らしかった。 「うわ……すっかり猫の耳だ。尻尾も。か……可愛い……ふわふわだ……」 触れてみた耳と尻尾は柔らかい艶のある毛に覆われている。これは……触り心地がいい。なんだか癖になりそうだ。 「にゃう……にゃぁう……」 撫でる手を止められずにいると、祥悟はごろごろと喉を鳴らす猫のように、気持ちよさげに鳴きながら、更に身体を擦り寄せてくる。 「あ。待って。そんなに身体擦りつけてこないで。……って……祥……君……そ、その目……」 「ふみゅぅ……」

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