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バレンタインSS『にゃんこな君』仕返しver.(智也×祥悟) 7※(完)
「だから~。さわんなっつーの」
激しい交わりの後の心地よい気怠さにうっとりしながら、智也が手を伸ばして尻尾を柔らかく撫でていると、祥悟はもじもじと身を捩りながら、その手をうるさげに払い除けた。
「だって可愛い。ここの毛がね、ふわふわしてて気持ちいいんだよ」
智也は甘い吐息混じりの声で囁くと、懲りもせずにまた尻尾を掴んだ。
「くすぐったいっつの、やめろって」
捕まえた尻尾がイライラしたようにパタパタと動く。そんな反応すらも可愛くて仕方がない。
「え……祥。君、素直じゃないな。くすぐったいだけじゃないよね? 感じてる、でしょ?」
智也が身を乗り出して、祥悟の頬に顔を寄せると、祥悟はまだ紅く潤んだ目でちろっとこちらを睨んで
「……おまえさ、ほんと、こういう時ドSだよな……。普段と別人だろ」
「え? 何か言った?」
最後の一言が聞き取れずに首を傾げると、祥悟は尻尾をパタパタ揺らしながら、ため息をついた。
「……なんでもねーよ。それよりさ、この耳と尻尾、いつ引っ込むんだよ? くっそ~。暁のクソバカエロ野郎が」
「ふふ。媚薬入りのチョコレートより、ある意味強烈だよね、これは」
「……ふん。嬉しそうな顔、すんなっつーの」
祥悟は嫌そうに眉を顰めて、手でぐいーっとこちらの頭を押し戻した。
「だって祥。さっき喋れなかった時の君、すっごく可愛かった。みゅう。みゃーんって。可愛くて食べてしまいたくなったよ」
照れる祥悟の反応があまりにも愛らしくて、智也は再び頬に顔を寄せる。
「あ~もう、頬擦りすんな。うっとおしい。つーかさ。んじゃあ智也は、俺が喋んねえ方がいいのかよ?」
「ばかだな。そんなわけ、ないよ。鳴き声がすごく可愛かっただけだ」
「ふーん」
全然納得がいかない様子で、ちょっと拗ねた顔をする祥悟も愛しくて堪らない。
「拗ねないで? それよりもう1回、君を抱いてもいい?」
耳に唇を寄せて、思いっきり甘く囁いてみる。
祥悟は耳をぴくぴくさせ、パタパタ揺らしていた尻尾をぴたっと止めて黙り込んだ。
「……ダメかい?」
今度は祥悟の目を真っ直ぐ見つめて、ねだってみた。祥悟はちょっと胡散臭げにこちらを睨みつけ、やがてぷいっと目を逸らすと
「……みゃぁ」
仏頂面のまま、小さく鳴いた。
「ふふ。それはOKって意味だよね? じゃあまた、可愛い猫のポーズ、してくれるかい?」
ー完ー
※これにて『にゃんこな君』仕返しVer. 智也×祥悟は完結です*_ _)
ファンタジー設定でしたが……楽しんでいただけたでしょうか。
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