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SS『傷口を舐める』智也と祥悟編 6※( 最終話 )
「あっ当たり前だよ。君にそんなことされて……平気なはずがないだろう?」
ちょっと恨めしくなってきてぼやくと、祥悟はにやりと口の端を吊り上げて笑った。
……ああ……。いつもの君だ。
ようやく、君が戻ってきた。
さっきの涙は綺麗すぎて心が締め付けられた。でも、泣いてくれて本当はほっとしたのだ。
病院での1ヶ月、祥悟はパニックがおさまっても自分を責めて、まるで感情がなくなってしまった人形のような顔をしていた。
泣くことも笑うことも忘れてしまったような、そんな彼がずっと痛々しかった。
大好きな人の哀しい涙は、本当は見たくない。
でも、さっきのあれは、どうにもならなくなっていた心を解放するために、どうしても必要な涙だったのだろう。
「もう……君って人は。さっきはあんな可愛い顔して泣いてくれたくせに」
祥悟の頬に優しく手を当てて呟くと、祥悟はまるで仔猫のように、すりすりと頬を擦り寄せてきて
「ち。可愛い顔なんかしてねーし。おまえが怪我したのさ、結構際どいところじゃん?だからもしかしたら、もう勃たないかも?って心配してただけだし」
ぷいっと目を逸らし、そんな憎まれ口を叩く祥悟が、堪らなく可愛くて愛しい。
「ふふ。君が1番心配してたのって、それかい? 酷いなぁ。じゃあもし本当にこれが勃たなくなったら……俺はもうお役御免なのかな?」
祥悟は目をきょとんと丸くして、呆れたように首を竦めると
「ばーか。んなわけねーし」
祥悟はふんっと鼻で笑って、まだ根元を覆っていたスウェットと下着をくるんっと下まで剥いた。
「そんな心配いらねえもん。おまえがもし勃たなくなったらさ、俺がおまえを抱いてやるんだからさ」
「え、あ、こらちょっと」
祥悟はふふっと笑いながら、剥き出しになったペニスの先に、ちゅっと音を立ててキスをした。
……うわぁ……。これが勃たなくなったら……俺が抱かれちゃうのかい?君に。
祥悟の唇と舌が、傷口の周りを慈しむように優しく這い回る。手でペニスを揉み込みながら、時折舌でぺろぺろと舐めしゃぶる。
智也は込み上げてくる熱に少しぼーっとなりながら、祥悟の男前な発言をじわじわと噛み締めた。
……君を抱くのはこれからもずっと俺だよ、祥。でも君にだったら……抱かれてみるのも……悪くはないのかもしれないな。
ーENDー
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