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下着を指示どおり下ろした理一は再びデスクに手を置く。
男の目の前に白い臀部が晒された。毛深い肌を好まない男にとって理一の肌は完璧だった。そこらにいる女以上の肌理をもち、手入れされている。それもすべて自分のためであるという事実がいいようのない興奮を滾らせるのだ。「あなたのものです」と言わんばかりの貢物。捧げられた物はきちんと受け取らなければなるまい。
「質問に答えなかったし、私の指示を待たずに立ち上がった。封筒を汚したね?
さあ、仕置きを始めよう。いつになったらまともに仕事をできるようになるのかな?理一」
浅い呼吸のせいで溜まりこんだ唾液が一筋唇から零れ落ちる。それは足元にまとわりついたボクサーショーツに染みを作った。
両手をデスクについたまま尻を晒している――その事実と自分の姿を想像した理一のうなじがゾクリと泡立った。
背後からは落ち着いた呼吸しかきこえてこない。自分は乱れて修正がきかないというのに。何もかも、敵わない。だからこそ迷うことなく付き従うことができる。
ああ……でもこれは駄目だ。ただじっと臀部を見詰められていることに後孔が引き攣る。
「ふっ」
また見透かされた……侮蔑に似た嘲りの笑いは鼓動を早め体温を上げた。ああ……早く。ああ……もう。ああ……孝之さん!
バシン!パシン!
「ああぁ!!!」
突然、臀部に熱い刺激が走る。ビリビリと皮膚が破裂音とともに電気のような痺れを起こした。
バシン!パシン!
大きなストロークで孝之は理一の臀部にスパンキングを施した。張りつめた皮膚が手のひらを弾き返すように震える感触がたまらない。一度吸着するように手のひらが取り込まれ、その後に反発を起こす。受け入れるくせにソッポをむくような反応がいい。白い臀部はみるみる赤く染まり、紅白の対比が孝之を煽った。
手のひらをお椀のようにカーブさせ、コンパクトに振りぬきスナップをきかせて素早く戻す。
スパァンン!!
破裂音がオフィスに響き渡った。しかしこれは音の効果を狙ったもので大きな痛みを与えるものではない。フルフルと震える臀部と理一の喘ぎに似た呼吸音がそれを裏付けている。
「あぁ……ああ」
ビリビリとした強い刺激はジリジリと深い余韻に変貌する。外部に晒されているというのに臀部は熱を持ち刺激を快感に変換し全身を巡る。臀部の谷間に隠されている後孔がヒクヒクと収縮を繰り返すのを感じ、浅い呼吸はさらにピッチを上げた。
朱に染まっているだろう自分の尻。浅ましさを晒している自分の尻……あああ……。
「指示なく立ち上がった罰!」
スパァン!!
「ああ!も……申しわけございません!」
「謝罪すれば過ちが消えるとでも?」
孝之が理一の臀部を両手で握り左右に広げた。
「ああ!」
「尻の穴を見られて興奮しているのか?どうなんだ理一」
孝之が身を乗り出し理一の後ろ孔に息を吹きかけた。
「ひっ!!」
予想していなかった刺激に悲鳴のような声が細く漏れ出た。力強く臀部を揉みしだかれ理一は期待に胸が熱くなった。触って欲しい……もっと……自分の身体で興奮してほしい……そして、そして。
「質問に答えなかった罰!」
スパァン!
理一の期待は打たれた尻の音によって弾け飛んだ。孝之は簡単に貫くことはしない。前戯にたっぷり時間をかけることを理一は痛いほど理解していた。だがそうであっても期待と欲望は消えることなく溢れ続ける――限りなく延々に。
最後の瞬間がくるまでずっと孝之を待つしかない。強請れないもどかしさ、だからこそ煽られ孝之への想いが身体の芯を焦がす。
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