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episode3-10

「あれ、高野トマト嫌いなんだ?」 「うわっ、藤井先輩。いきなり入ってこないでください。」 「いやずっと隣のレジにいたから、俺。」 藤井先輩とは侑稀のバイト上がりを待ってる時に顔を合わせていたから顔見知りではあるわけで、 俺は、お疲れ様っす、と片手を上げた。 「お疲れー。何、高野もしかして偏食家?」 「すごいっすよ、嫌いな食べ物ありすぎて。」 「え、意外。なんでも食べるタイプかと思った。」 挙げたらキリないくらい食べられないものありますよ、と俺が言うと まじか、と先輩は笑った。 「京、余計なこと言うなよ。」 「そんな怒んなって。んじゃあ今日はパスタな。」 家にない食材を適当にカゴに入れていると いつの間にか後ろを着いてきていた侑稀が、アイスやら炭酸やらを勝手に追加するもんだから 思った以上に大荷物になってしまった。 【京side.end】

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