百年単位ぶりに元日に都心では雪が降った。 年はじめの只でさえ静かな世界は、より静かなものになった。 「はじめくぅーん？雪遊びしよーよ！」 「んー？」 正月のお笑い番組にも飽きてきた頃、窓の外を覗くと雪が積もっている。 恋人は年賀状を分けていて俺の言葉には上の空だ。 「一(はじめ)！折角雪降ったんだからかまくらでも作って中で鍋でも食べようぜ！！」 「いや…お前の名前っていつ見ても面白いよな」 「一だって人の事言えないだろ！」 「確かにそうなんだけど…」 恋人の一は何処にでも居るサラリーマン。 しかも名前は佐藤一だから絵にかいたような平凡な名前なのだが、俺も人の事を言えなかったりする。 俺の名前は山田太郎だから、勤めている会社も違うがお互い変な親近感で付き合いはじめた。 最初は営業で一の会社に行って名刺交換したところで平凡な名前に二人で仕事そっちのけで話が盛り上がった。 その後何度か個人的に食事に行ったりしてる内にいつのまにか恋人同士という関係になっていたのだ。 「はははは。やめろよ」 「一が話聞いてないからだろ！」 「ごめんごめん。かまくらだよな」 俺が一を後ろから抱き込むと、一はころころと笑い出す。 一応話は聞いていたみたいだが俺はぷぅっと頬をふくらませてみせる。 俺より年下の癖にこうやって落ち着いた態度をとってみせるのだ。 「ほら…ふくれてないでダウン着てかまくら作ろう？」 「はじめくんが冷たいよー」 俺は一の肩に顔を埋めて泣き真似をしてみるが、頭をポンポン叩かれてしまう。 こうやって毎回上手く丸め込まれてしまうだ。 付き合いはじめてからしばらくして一緒に住もうかと提案すると、快く同意してくれて俺達は郊外にある一の祖母が住んでいた一軒家に住んでいる。 家には少し広めの中庭がついていて数センチの雪でも全部集めたら何とかかまくらが作れそうだ。 「あっつー」 「何とか形になったな」 俺の予想通り中庭の雪をかき集めて男二人が入れるかまくらができあがった。 中には折り畳み式の机を置いて、毛布をかけて簡易的なこたつを作る。 しかし、雪を集めたり、固めたり身体を動かしていたおかげで今はうっすらと汗をかいている。 「なつかしー」 「太郎の所は雪降るもんな」 俺の地元は雪国で、子供の頃はよく友達と雪だるまやらかまくらを作って遊んだ。 都会育ちの一も、今は冷静を装ってはいるが、結構興奮しているのが分かる。 「そうだ！」 俺は急いで家の中に入って湯タンポにお湯を入れる。 それを袋に入れて、更に膝掛けでくるむ。 ついでに冷凍庫からアイスを２本取り出して中庭に戻った。 「鍋をするには早いからこれでも食べようぜ！！」 俺がかまくらの中に入ると、一はかまくらの内側を整えていて俺と目が合うとぱっと手を引っ込めた。 「一は凝り性だもんな」 「ち、違う！俺はただ崩れたら困ると思って！！」 俺は簡易こたつに湯タンポを入れるために机の上にアイスを置いた。 お互い30も後半でアラフォーと呼ばれる世代に入ったが、相手の子供っぽい仕草を見るとやはりほほえましい気持ちになるもんだ。 「はいはい。暑いからこれ食べような」 一は何かぶつぶつと言っていたが俺が手渡したアイスを素直に受け取り、フイルムを剥がして口に含んだ。 俺もフイルムを外してアイスを口に入れるとミルクの味が舌に広がる。 「やっぱり太郎の所のアイスうまいな」 「弊社商品ですから！」 俺は大手の菓子メーカーに勤めているので、よく試作品やら製品サンプル等を家に持って帰ってくる。 今食べているアイスも、営業先に渡すサンプルの余りだ。 「かまくらなんて作れると思ってなかった」 「こっちは雪が降らないからな」 俺がしみじみとかまくらを見上げて居ると、一が横にくっついくる。 家で一はとっても甘えん坊だ。 俺がこたつに入っていると俺の前に座ったり、テレビを見ているといつのまにか横に居たりとまるで猫みたいだ。 少し机を前に出すとするりと俺の足の間に入ってきて座り込む。 「そんなに暑かったか？」 「うわっ！！つめたっ！」 首筋にうっすらと汗をかいていたので、悪戯心でそれをペロリと舐めてやった。 一が驚いた声をあげた時に、俺は良いことを思い付いてしまったのでにっこり微笑む。 「ちょっと！太郎！！」 「ワンワン」 俺は一のダウンのファスナーを下ろすと、スウェットに手を突っ込む。 ボクサーの上から股間をむにゅむにゅと揉んで手を温める。 流石に直接的な刺激に一はひとたまりもなかった様で、すぐに熱を帯びてきた。 「あー。ごめん…最近してなかったもんな」 「うー」 クリスマス商戦に向けてここ１ヶ月ほど忙しかった俺は結構ご無沙汰だった。 若いときに比べれば回数は減ったし、一と付き合いだしてからは一緒に居ることで満足してしまっている部分がある。 「太郎が悪いんだからな！！」 一がこちらを向いたかと思うと体重をかけられ俺は素直に倒れるが、かまくらがあるので気を付けながら倒れる。 「ごめんごめん。エッチな一くんを１ヶ月放っておいて…」 「別に！！」 実は一が1人で色々発散していたのは知っていたのだが、それはあえて黙っておいてやる。 仕事のストレスをセックスで発散するとはよく聞く話だが、一もそれだ。 以前話を聞いたところによると、後ろの快感を覚えてからは自己開発が進んだらしい。 ロングTシャツをめくると、ぷっくりと膨らんだ乳首が見える。 現在大手食品メーカーに出向中だが、本来はお堅い仕事をしているのにスケベな身体をしているとかギャップ以外ない。 「あーあ。下もビンビンじゃん…」 ジーパンの上からでも股間のところが盛り上がっているのが分かる。 服を脱がせようとしたら、自分から見せつけるように服を脱いでいく。 全く気が付かなかったが、いつの間にか股間の茂みはなくなってツルツルとした肌が見える。 「マジか…一くんパイパンにしたの？」 「嬉しいだろ？」 膝立の一は全く恥ずかし気もなく俺の手をとって毛がはえていたであろう場所を触らせてくる。 サラサラとしていて温かい肌についつい夢中で触っていると、再び手をとられた。 立派に勃起したぺニスからは先走りが滴っているのに、俺はそれに意地悪く息を吹きかける。 「んっ…ひぎっ」 「マジで一くん遊びすぎじゃない？」 「うるさっ！！」 ゆっくり起き上がった俺は、腹の上に股がっている一の後ろに手を回して孔をちょんちょんとつついてみると、見えないのにヒクヒクと蠢いているのが分かる。 少し焦らそうと思っていたのに、勝手に腰を落として来た一は俺の指を易々とのみ込んだ。 膣内はぐにゅぐにゅと動いて指を必死に締め付けてくる。 仕方なく指を動かしてやるとくちゅくちゅと微かな水音がした。 「乗り気じゃなかったのに、本当にエッチ好きだよね」 「んっ、んむっ、んはっ…たろぉのおっきくなってるぞ？」 俺もジーパンを引き下ろされ、躊躇なくぺニスを口に含んだ一に呆れてしまう。 タガが外れた一は俺でも手に終えないのだ。 まぁ、こんなセックス大好きな恋人を放って置いた俺も悪いので大人しく舐められておく。 「あっ、あん！！」 「こら…声が大きいぞ…」 「んぐっ、ぐぅ」 俺に股がって腰を動かす一の声がどんどん大きくなる。 久しぶりのセックスにテンションがあがった一はここが外だという事をすっかり忘れてしまっているようだ。 口を押さえてやると、孔がぎゅうっと締まる。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ」 「ほら…郵便局の人が来るから静かにね」 少し遠くから郵便局のバイクの音が聞こえる。 中庭は少し奥まっているし、かまくらの口は家の方に向いているので平気だとは思うが、一の声が聞こえれば見られないとも限らない。 俺は音がかまくらの外に聞こえない様にゆっくり動くが、それがもどかしいのか一の腰がゆらゆら揺れている。 「シィー」 数件先に郵便局のバイクがどんどん近付いてくる。 腰を掴んでゆっくり一の中に押し込んだ瞬間、膣内が小刻みに痙攣をしはじめた。 「んんんんんんっ！！」 遂にバイクが家の前に止まる。 ポストに手紙が投函されるゴトンと言う音と同時に一のぺニスから精液が吹き出す。 パタパタと俺の腹とかまくらの雪の上に白濁した液体が落ちる。 力の限り締め付けられ、俺も一の中に出してしまう。 「ごめん…ゴム忘れた」 「ん…大丈夫」 俺が謝ると身体が小刻みに震えているが、一の顔は満足そうだった。 体勢を入れ換えて一を寝かせ、ゆっくりと引き抜くと孔がキュッキュと収縮していく。 「あ、ティッシュ…」 「舐める」 一が身体を丸めて俺の股間に顔を埋める。 じゅるじゅると音を立てながら美味しそうに俺のぺニスに舌を這わせる。 「たろぉと…もっとしたい…」 「ん。そうだな。今年もよろしく」 俺のが綺麗になると、一が首に抱きついてきたので俺はこたつに使っていた毛布で一を包んで抱き上げる。 頬にキスをしてやりつつ俺は家の中に入っていく。 今年も一に振り回されそうだなと感じつつ大切な人と過ごせる正月を噛み締めていた。 END