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第2話
希望はライとの身体の関係が始まってからしばらくの間、ライの寝ている姿などほぼ見たことなかった。慣れない身体に快感を教え込まれ、時に激しく、時にじっくりと犯され、気を失うまでヤられることが多かったせいでもある。毎回気を失うわけではないのだが、ライはよく、事が済んだ後もキスしたり愛撫したりと希望の身体を可愛がった。その柔らかな刺激と体温が心地よくて、希望は眠りに落ちてしまう。貪り尽くされた身体で早起きなどできるはずもなく、朝は大抵ライに叩き起こされていた。なんとか頑張って一人で起きる時もあったが、それはライからどうしても逃げたい時だけなので、とてもじゃないがライの姿を確認する余裕などない。
しかし、だんだん希望も強くなり、ライも希望の限界を学んでくれたのか(もしくは朝叩き起こすのが面倒になったのか)、気を失うことも減り、朝も自力で起きられるようになっていった。
そんなある日、希望は目を覚まして驚いた。ライが寝ている。ライよりも早く起きられた。
希望はライより早く起きられたらやりたいことがあった。だから急いで、しかし静かに、こっそりと部屋を出た。シャワーを浴びて、朝食作りにとりかかる。
昨晩もライはなかなか希望を離してくれなかったから、身体がまだ少し火照っていて、気だるさが残っている。けれど、どうしてもやりたいことがあるから重い体をなんとか働かせる。
希望は、寝てる恋人をチューして起こしたかった。
「起きて、ハニー♡」とか「コーヒー入れるね♡」とか言いたかった。
何故なら両想いだから!
絶対許されないだろうと思って我慢してきたけど、今なら許される気がする。
激しく熱い夜の後、甘く優しい朝があってもいいはずだ。
恋人みたいに!
何故なら、両想いだから!
希望は甘々ラブラブ王道ベタ盛りが大好きだった。
なお、ライがそういった甘いものが嫌いなことも重々承知していたが、それとこれは別。他人の嫌がることはしてはいけないと教えられて育ったし、今までそうしてきたが、ライは別にいい。何故ならライ自身が積極的に希望の嫌がることをしてくるからだ。
ライと愛し合うということは、お互いの愛をぶつけ合うことだと最近悟った。妥協したり遠慮したりしたら負ける。負けたら喰われる。
つまり、ライが好き勝手に希望を愛するのならば、希望も自分の好きなようにライを愛していいということだ。ほっぺにチューして起こしてもいいのだ。
何故なら! 両想いだから!
希望はまだまだ浮かれていた。
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