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第4話
「……んっ、ぁっ、ぁん……!」
ずるり、と引き抜かれる感触に希望が身体を震わせる。いつもはキラキラ輝く瞳はうっとりと蕩けて、情事の余韻に浸っているようだった。ライが引き抜いた拍子に希望の中から白濁の熱がとろりと溢れて、希望の白くて丸い尻を汚している。
「ぁっ……ん……っ、はぁ……ぁっ、んぅ……っ」
絶頂の余韻で、希望はまだ、ビクッビクッと時折小さく震えている。その度に甘い吐息を溢した。
き、きもちよかった……いや、でもっ……!
いきなり襲われて何事かと思ったが、すんなり受け入れてしまった。「なんで準備してんの?」等とも言われて笑われ、まるでこうなることを最初から望んでいたみたいに扱われて、怒るところなのに。今更恥ずかしくなって、顔を両手で覆う。
朝からえっちなことしちゃった……!
なんかっ! すごくイケナイことしてる気がする……!
恥ずかしさのあまり身悶えする希望に気付いて、後始末を終えたライが冷ややかに見つめる。また妙なこと考えてるな、と呆れていた。
「いつまでもエロい格好してるとまた犯すぞ」
「……あんたがこんなんにしたんでしょうが……」
抗議するようにじろりとライを睨む希望だったが、いつも以上に潤んだ瞳ではあまり効果がない。
希望はまだ起きられないらしく、くったりとしていた。エプロンが乱されたせいで、荒い呼吸に合わせて上下する大きな胸も擦られて赤くなった乳首も衝動のままに齧り付かれた跡もさらけ出したままだ。
「そんな格好でのこのこやって来る方がおかしいだろ。誘ってんのかと思った」
「は?」
「なんでエプロン一枚なんだよ。バカかてめぇ」
うぐ、と希望が一瞬言葉に詰まる。
「……だ、だって、ライさんコスプレは意味わかんなくて萎えるって言ってたから、裸エプロンでも平気かなって……パンツ履いてたし、大丈夫だと……」
「何言ってんのかわかんねぇわ」
「それに、着替えてる間にライさん起きちゃうかもしんないし……今日は先に起きたからどうしてもやりたくて……『チューして恋人を起こす朝』ってやつ……」
「マジで何言ってんの? 正気?」
「もう、わかってもらわなくてもいいですっ!」
むぅ、と唇を尖らせて希望はようやくゆっくりと起き上がった。
「ライさんの寝顔見れたし、チューで起こせたし、俺はもう満足してるの」
ライを見上げて希望が笑う。ライはその笑顔を見つめて、目を細める。
「……趣味が悪いな」
「うるさいっ! もういいから、朝ごはん食べましょう? お味噌汁冷めちゃったよ、きっと」
ね? と首を傾けて笑う希望をしばらく見つめても、ライには希望のことが何一つ理解できなかった。
「…満更でもない顔してんなよ。エロガキ」
「はぁっ?! ち、ちがっ……、……だって……っ」
「あ?」
ライが希望を見ると、ふにゃぁと表情を崩して赤らめていた。じっとライを見つめて、にやけてしまった顔を押さえて、ぽそりと呟く。
「……起こしに来たところでエッチなことしちゃうのとか、なんか……ちょっと新婚さんみたい……♡」
ちょっと嬉しそうな希望が心底腹立たしかったライは、もう二度と希望を朝からベッドに引きずり込んで犯すのはやめとこうと決めた。これ以上調子に乗らせてはならない。そうでなくとも最近の希望の浮かれ方は目に余る。
いっそのこと、二度と目覚められないようにしてやろうかこのクソガキ。
ライの物騒な考えなど露知らず、希望は自分で口にした「新婚さんみたい」という言葉にときめきが止まらなくなっていたので、ライの殺意混じりの視線に気づかずに浮かれ続けた。
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