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第6話
近くのコンビニで期間限定のちょっとお高めのアイスを買ってきて、希望は足早にライのマンションまで戻ってきた。ライさん起きてるかなと、そわそわしながらエレベーターを待つ。アイスは一個しかなかったが、ライはアイス食べないから別にいいだろう。でも欲しがったら、ちょっとくらいあげてもいい。そんなことを考えながらエレベーターに乗り、ライから貰った合鍵で家に入る。
リビングに人の気配がする。そっと扉を開けて覗いてみると、案の定ライが起きていた。希望に背を向けて、リビングダイニングの真ん中に立っている。
「あ、ライさ……ん……」
ライが起きていたことが嬉しくて、扉を開けて声をかけようとした希望は途中で固まる。ライが振り向くと、とても怖い目をしてた。無表情だが、瞳の奥には暗い光が轟々と荒れている。ライは、扉の前で立ち尽くす希望に気付いて、ゆっくりと近付いてきた。見下ろす眼差しが暗くて、怖くて、希望は身動きできなかった。ライが希望の腕を掴んだ。
「っ……あ、あの、いたいっ……!」
腕を掴む強さに声を上げた希望はそのままリビングの床に押し倒された。床に叩きつけられ、背中と頭を打ってしまう。
「っぅ……?!」
希望が起き上がろうとするとライに肩を抑え込まれる。覆い被さる男を見上げて希望は呆然としていた。
「ラ、ライさ……あっ、待って! やっ……!」
戸惑う希望の制止は無視されてしまった。
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