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第7話

「あっああっ! あっ、ああっ、ぁぁあッ! ……っあっ……! んっぅ……! んっ……! あっ……アアッ……!」  両腕を強く掴まれて引き寄せられて、奥の奥まで熱を注ぎ込まれる。中がびくびく震えて、締め付けるから、慣らされた身体は悦んでいるのだと希望は自覚せずにはいられない。弱い奥を執拗に責められて、快感が全身を襲う。あまりにも激しく絶え間ない快感の波は、辛くて苦しい。それでも問答無用に行為は続く。反応してしまう身体が恨めしい。こんな乱暴な行為さえ、快感に変えてしまう。 「あっ、あっ、ぁっ! あっ、んっ……ひっ……んっ!」  シャツを捲られ、胸を荒々しく揉まれて乳首を弄ばれ、首筋に食い付かれた。その間も、激しく貫かれて揺さぶられ、犯され続ける。    な、なんでこの人、怒ってんのぉ……?!    怒りをぶつけられているような行為に、身に覚えがなくて希望は戸惑い混乱した。    息も絶え絶えになった頃に、ようやくライの怒りが収まったらしく、解放された。のし掛かっていた身体がゆっくり離れて、希望はほっとする。 「んっ、ふっ…ぅん…っ…んっ!」  乱暴に引き抜かれる感触にすら、敏感になった身体が反応して震える。 「はぁっ…、ぁん…っ」 「おい」 「はぃっ…!?」  希望は床に転がったまま、覆い被さる不機嫌な男を見上げる。ビクッと震えて、小さくなった。 「ラ、ライさん?」 「どこ行ってた」 「……え?」 「どこ行ってたんだよ」  きょとんとした顔でライを見つめていた希望が、ハッと気づいて周りを見回した。 「…あっ、ああー!」 「あ?」 「アイス…」  よろり、と起き上がった希望が這いずって、ビニール袋に入ったまま無惨にも放り出されたアイスを拾う。袋に入った棒アイスがあるはずなのに、触ってみると何か、ぐちゃぐちゃしてる。固形の感触がない。 「溶けちゃった…あーあ……」  座り込んで肩を落とす希望を眺めて、ライは全てを理解した。理解した途端、興味を失ったように、途中で投げ捨てた上着を拾ってシャワーへと向かおうとする。その足を、希望が掴んだ。ライが目を向けると、むぅっと唇を尖らせた希望が睨んでいる。 「なんだよ」 「なんだよじゃない! ライさんのせいで溶けちゃったんですけど!」 「知らねぇよ。また買えば?」 「最後の一個だったの!」 「探せば?」 「今食べたかったの!」 「うるせぇな。それ冷やして固めて食えよ」 「そういうんじゃない! もう!!」  希望が怒って、ビニール袋ごとライに投げつけるがひょいと簡単に避けられてしまった。それが気に入らなくて、ますます怒って、希望がそっぽを向く。  ズボンは脱がされ、座り込んでいるから丸くてむっちりとした尻が床に乗っている。シャツは乱暴に引っ張られたり捲られたりしてよれて、荒々しい行為を受けたことを物語っていた。情事の跡の残る身体で、こどものような態度を取る希望を眺めていたライが、近付いてしゃがみこみ、希望の肩を抱き寄せた。希望がビクッと震えて、ライを恐る恐る見上げた。ライは優しげに微笑んでいる。それが希望には怖かった。 「悪かったって……。機嫌直せよ」 「……」 「今日はどこでも好きなとこ連れてってやるからさ」 「……アイス……」 「探しとく。それでいいだろ? な?」  少し首を傾けて優しく宥めるようなライに、希望は寒気がしてきた。穏やかな口調に声音、目を細めて優しく笑うライは怖い。ここで終わらせておかないと、酷い目に合う気がする。もう十分酷い目に合っているけど。  ライの提案や謝罪を受け入れたわけではないが、自分の中で警報が鳴り響いているので、希望は小さく頷いた。 「……う、うん……いい、です……」 「いいこだ」 「あっ……」  立ち上がろうとしたライを見上げる。何か言いたそうな希望の表情に、ライが再度覗きここむ。 「ん?」 「…ライさんは何で怒ってたの…?」  恐る恐る尋ねると案の定一瞬だけ、ライの表情が消えた。あ、やっぱり突っ込んではいけなかったかもしれない、と希望は少し後悔した。けれどライは「…ああ、別に」と言うとまた優しく頬笑んだ。 「お前が逃げたと思ったから。それでちょっとな。何も言わないで消えるから」 「……え、っと……ご、ごめんなさい……」  不安にさせてしまったということだろうか、と希望は罪悪感に襲われる。同時に、起こしてもヤられるし、起こさなくてもヤられるのか……どうしろと……、と言いたかったけど言わなかった。少し俯いて、申し訳なさそうにしている希望に、ライが笑いかける。 「まあ、いいよそれは。それよりさぁ」  やけに明るく爽やかな声の後、ライはするりと希望の腰に手を回し、耳元に唇を寄せた。 「……洗ってやるから、一緒においで」  耳に響く低い声に、希望はビクッと震えて固まった。  ライは希望の耳元から首筋に唇を這わせる。時々わざとちゅ、ちゅ、と音を立ててキスを繰り返す、希望は胸がドキドキしてきた。ときめきと恐怖の二重の意味で。  希望の腰を撫でるライの大きく熱い手は、ゆっくりと下へと向かって、尻を掴んだ。 「ひっ……」  しばらく固まっていた希望がライを見つめる。ライは相変わらず優しく微笑んでいた。怖い。目が、暗くて何を考えているのかわからない。けれど希望は意を決して、口を開いた。 「……えっちなこと、しない?」 「しないよ」 「……ほんとに?」 「しねぇって。洗うだけ。……いいから来いよ」  尻を掴む手に力が入り、低い声に不穏な響きが滲む。    あ、これ逃げられないやつだ。    観念して小さく頷いた希望をライは逃がさないようにと強く抱き寄せ、風呂場へと連れていく。  数分後には風呂場から希望の悲鳴と嬌声が響き渡った。

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